米CATV最大手でメディア娯楽企業NBCユニバーサル(NBCU)も傘下に置くコムキャストの2015年1-3月期決算は、CATV部門の好調に支えられ売上高は前年同期比2.6%増と市場の予測を上回る178億5000万㌦を記録した。純利益は同10%増の20億6000万㌦だった。
CATV部門の成長エンジンとなったのがブロードバンド(高速インターネット)サービス。同期の新規加入者は40万7000人と前年同期比6.2%増、13年以来の最高記録となった。これまで基幹事業だった映像配信サービス(地上波テレビ局の再送信とケーブル局配信)は逆に8000人の加入者を失った。米報道各社は「インターネットがテレビに取って代わった」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「ストリーミング・テレビの到来がCATV業界を塗り替えている」などと一斉に報じている。
同期の映像配信サービス加入者数は2237万5000人と、ブロードバンドの2236万9000人をわずかに上回っているが、4-6月期にはブロードバンドに逆転されることが確実視されている。
CATV部門全体の売上高はブロードバンドの好調が寄与し、前年同期比6.3%増の114億3000万㌦だった。
NBCU部門はフィルムド・エンターテイメント部門(ユニバーサル映画他)やテーマパーク部門が活況を呈したことで売上高は4.0%増となる66億㌦を記録した。
フィルムド・エンターテイメント部門は、ベストセラー小説を原作とした映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』以外に目立ったヒット作がなかったことから興行収入は芳しくなかったものの、番組再販などが貢献し、同部門の売上高は前年同期比7%増の14億㌦だった。
テーマパーク部門は、フロリダ州の『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリーポッター』のおかげで入場者が増え、売上高は33.7%増となる6億51000万㌦となった。
地上波テレビNBCネットワークを中心とするブロードキャスト・テレビジョン部門は、プライムタイム番組が好調で広告収入が伸びたほか、映像配信サービス各社から徴収する再送信料や配信料収入が増えたものの、冬季五輪やスーパーボウルなどの特別イベント(前年同期)がなかったため、売上高は14.2%減少となる22億㌦だった。
USAネットワークやSyFyチャンネルなど人気ケーブル局を傘下に置き、NBCUの主力事業であるケーブル・ネットワークス部門の売上高は、地上波テレビ同様広告収入が健闘したが、前年同期のソチ五輪放送に見合うイベントがなかったことなどから、5.9%減24億㌦に終わった。