
米娯楽・メディア企業大手ウォルト・ディズニーの2015年1-3月期決算は、純利益が前年同期比10%増の21億800万㌦、売上高も7%増の124億6100万㌦と、いずれも市場予測を上回る増収増益となった。傘下のスポーツ専門ケーブル局で屋台骨的存在の「ESPN」の高額放映権料による圧迫や世界的大ヒット作となったアニメ映画『アナと雪の王女』に見合う映画がなかったことなどから、減益もあり得るとの見方もあったが、テーマパーク・リゾート部門や消費者向け商品部門、さらには地上波テレビABCネットワークなどが健闘し、事前の予測を覆す格好となった。市場からは「ディズニーは最も多角的な経営が効力を表すメディア企業」と称賛の声が上がっている。
グループ傘下で売上高が一番多かったのがメディア・ネットワークス部門。同部門の売上高は前年同期比13%増となる58億1000万㌦だった。内訳を見ると、「ケーブル・ネットワークス」の売上高が11%増40億3000万㌦。映像配信サービスから徴収する配信料の値上げ、大学スポーツ専門局SECネットワークへの新規加入者数が増加したことなどが貢献し、ESPNが放送するNFL(米プロフットボール協会)試合の放映権高騰などによる負担を補った。

一方、地上波テレビABCネットワークを抱える「ブロードキャスト」部門の売上高は好視聴率による広告収入が堅調だったことなどから19%増の17億8000万㌦となった。
また、入場料値上げにもかかわらず観客数が減ることなく活況を呈したテーマパーク、そしてホテルやクルーズなども人気だったことからテーマパーク・リゾート部門の売上高は前年同期比6%増となる37億6000万㌦に達した。
また消費者向け商品部門も売上高が10%増の9億7100万㌦と好調だった。グループ全体の売上の8%を占めた。営業利益は32%増と大幅な上昇となる3億6200万㌦を記録した。相変わらず人気の『アナ雪』関連商品の売上が大きく貢献した。
不振だったのが映画部門(スタジオ・エンターテイメント部門)。売上高は前年同期比6%減の16億8500万㌦に終わった。前年同期に大ヒット作となった『アナ雪』に見合う作品に恵まれなかったことが大きな要因で減収は織り込み済み。しかし、第2四半期はすでにマーベルコミックスのスーパーヒーローチームが活躍するアベンジャーズの新作『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が大ヒットしており、劇的な挽回が見込まれている。