米メディア界の大物サムナー・レッドストーン氏(91)が支配する米メディア企業「CBSコーポレーション」の2015年1-3月期決算は、グループ全体の屋台骨で、「米国で最も良く見られているテレビネットワーク」CBSネットワークの不振が響き、売上高は前年同期比1.96%減となる35億㌦となった。純利益は15.8%減3億9400万㌦だった。
CBSネットワークの不振は、同期に放送したNFL(米プロフットボール協会)主催の試合中継番組が前期より1試合少なかったことが要因となった。
CBSは広告収入依存型からの脱却を積極的に目指す企業、新天地を番組のデジタル配信に求めている。同社CEOレスリー・ムンベス氏は、昨年暮れ立ち上げたネット上の番組配信及びオンデマンド・サービス「CNN All Access」(月額5.99㌦)について「非常に勇気づけられる結果を得ている」と評価したうえで、同社傘下の人気有料チャンネル「Showtime」のネット配信サービスを今年中に開始したいとの意向を明らかにした。
レッドストーン氏が支配するもう一つのメディア企業「バイアコム」の同期決算は、大型人員削減に伴う費用などがかさんだため、純損益が5300万㌦の赤字となった。早期退職費用を中心としたリストラ費用や不振だった再放送番組の評価損などは合計7億8400万㌦に上った。また、視聴率低下傾向が続くケーブル局の減収に加え、パラマウント映画などを傘下に置くフィルム・エンターテイメント部門が不調だったことなどから売上高は昨年同期比3%減の24億5000万㌦だった。
フィルム・エンターテイメント部門は、映画『スポンジ・ボブ』が一定のヒット作になったほか、公民権運動を描いた『セルマ』がアカデミー賞受賞作品になったが、前年同期ほどの興行成績には至らず売上高は21%減の6億5900万㌦におわった。一方、若者向け専門局「MTV」や「コメディー・セントラル」さらには子供チャンネル「ニコロデオン」など多くの有力ケーブル局を傘下に置くメディア・ネットワーク部門の売上高は、3%増となる24億5000万㌦だった。ただ、ケーブル局は若者視聴者の離反が目立ち始めていることから、同社のフィリップ・ダウマンCEOはムンベス氏と同じく、今後はオンライン番組配信を強化していく考えを示した。
なお、決算発表にともない、市場ではレッドストーン氏が娘のシェリー氏を後継者に任命するとの憶測が飛び交ったが、レッドストーン氏はこれを否定した。