米TVアップフロントが始まった

米地上波テレビネットワーク各社が広告主に対し新シーズン(201516年シーズン)のプライムタイム編成と広告販売交渉を行う重要イベント「アップフロント」が5月中旬から順次始まった。米国テレビ界の新シーズンは毎年9月から始まる。4大ネットワーク(ABCCBSFOXNBC)が発表した新番組編成の傾向を見ると、NBCの『Chicago Med』など新しい医療ドラマや、CBSの『Supergirl』などDCコミック(漫画本)のテレビ番組版、さらにはFoxの『Minority Report』などヒット映画のテレビ化などが目立つシーズンとなりそうだ。

 今シーズンも広告主が重要視する1849歳層年間視聴率でトップの座を射止めたNBCネットワークは、その原動力となっているNFL(米プロフットボール協会)主催の中継番組『サンデーナイト・フットボール』やオーディション番組ナンバーワン『ヴォイス』などを中心にドラマ9本、コメディー6本に加え、新たな試みとしてライブ・バラエティー番組『Best Time Ever』を含む合計16本の新番組を発表した。

新番組7本(ドラマ:5、コメディー2)と、4大ネットワーク中最小数で新シーズンに臨むのがCBSネットワーク。今シーズン、世帯視聴率ダービーで7年連続首位の座を収めて安定感をアピールした格好となった。15年続いた『CSI:科学捜査班』を201516年シーズン限りで打ち切ることを発表し話題となった。

昨シーズン大ヒット作となった『How to Get Away With Murder』(らつ腕黒人女性弁護士を取り巻くリーガル・サスペンス)や中国からの移民家族を描いたコメディー『Fresh off the Boat』などをラインアップするABCネットワークは10本の新番組(6ドラマ、4コメディー)を追加。FBIエージェント物語『Quantico』には人気インド人女優を起用するなど、出演者の民族性多様化をさらに拡大する。

ここ数年不振に悩んでいたFoxネットワークは、今シーズン大ヒット作となったヒップホップ・ドラマ『Empire 成功の代償』を踏み台に、SF映画『マイノリティー・リポート』のテレビ版など10本の新番組(4コメディー、6ドラマ)を編成、大カムバックを目指す。一世を風靡したオーディション番組『アメリカン・アイドル』を来シーズン限りで打ち切ることも発表した。

なお、プライムタイム番組CM枠の約8割を売買する交渉は、13ヵ月かかるのが通常。今年は4大ネットの売上高が昨年度比10%ほど減少する(米広告会社マグナ・グローバル)などと厳しい予測も出ている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>