米ヤフーがNFL試合をネット中継 

米インターネット大手ヤフーはこのほど、米テレビ界のキラーコンテンツであるNFL(米プロフットボール協会)試合のネット上での試合中継権を獲得したと発表した。ヤフーの最高経営責任者マリッサ・メイヤー氏が直接NFLとの交渉に関与するなど、いわば社運をかけた大型交渉が実ったかたちだ。

試合はレギュラー・シーズン公式戦で1025日にロンドンで特別に開催されるバッファロー・ビルズ対ジャクソンビル・ジャガーズ戦。1試合限定の契約だが、ヤフーは来シーズン以降のさらなる配信権獲得も視野に入れているという。

これまでNFL試合のインターネット上の配信はユーチューブやフェイスブックなどによるハイライト版に限られていて、全試合の模様がインターネット配信されるのは初めてのケース。試合の模様は中国を除く全世界に向け配信される。

ニューヨークの有力広告代理店ホライゾン・メディアのリサーチ部門担当の上級副社長ブラッド・アドゲイト氏は、「ここ数年精彩を欠くヤフーが名声を得るきっかけとなるイベントになるだろう。社員が自信を取り戻すことにもなるし、ヤフーの他事業の活性化にも大きな宣伝効果をもたらすのではないか」と極めてポジティブな評価を下している。

メイヤーCEOは、現在、企業の立て直しの中心にビデオ・コンテンツ配信拡大を据えており、今回のNFL試合中継が大きな弾みとなるよう大きな期待を寄せている模様だ。ウォールストリート・ジャーナル紙は交渉関係者からの情報として、今回ヤフーがNFLに支払う放映権は地上波テレビネットワーク並となった模様。ちなみに、昨シーズン初めて木曜夜のNFL試合中継権を獲得したCBSネットワークは、8試合の放映に3億㌦を払ったとされている。

一方、NFLは目下、デジタル配信権からのさらなる収入を模索中。膨大な放映権料を払っている地上波テレビやケーブル局の神経を逆なでしないよう、計画は慎重に進める考えだ。今回ヤフーに許可した試合は、昨シーズン下位に終わったチーム通しの試合で、全国向けには放送されない物件を選んだようだ。NFLにとって、アメフト・ファンや広告主がネット上の試合中継にどのように反応するのかなどを探る実験的な取り組みと見られている。

なお、同試合は、両チームの地元、ニューヨーク州バッファローとフロリダ州ジャクソンビルのローカル局、英国テレビSkyでも同時に中継される。

<テレビ朝日アメリカ 北清>