国際サッカー連盟(FIFA)が開催したサッカー女子ワールドカップ(W杯)カナダ大会決勝戦(日本対米国)が7月5日、カナダのバンクーバで行われたが、この模様を米国内で独占中継(英語)した地上波テレビFOXネットワークが高視聴率を記録した。
ニールセン社速報によれば、プライムタイム(米東部時間午後7時)で放送された特別番組の平均視聴者数は2540万人と、米国で放送されたサッカー試合中継番組としては米テレビ史上最高記録を樹立した。
また、ヒスパニック系住民(スペイン語を母国語とする中南米諸国出身グループ)向けスペイン語放送「テレムンド」も前大会比97%増となる130万人の視聴者を魅了し、米国内で合計2670万人が熱戦の模様を観戦したことになる。なお、テレムンドが獲得した視聴者数は、スペイン語放送による女子サッカー中継番組の最高記録となった。
一方、ソーシャルメディアでもW杯の話題で持ちきりだったようだ。大会期間となった6月6日から決勝戦の間に世界で交わされたツイッター数は90億件に上ったという。
米広告専門誌「アドウィーク」によれば、視聴率に並行するかたちで広告収入も絶好調だった。FOXに転がり込んだ広告収入は同社予想の倍以上となる4000万㌦とうれしい誤算となった。ちなみに、4年前のW杯はウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局ESPNが独占放送したが、当時の広告収入は800万㌦だった。
FOX関係者の話によれば、決勝戦の30秒CM料金は50万㌦に達した模様。同夜の売上高は合計1200万㌦となった。
米国では圧倒的な人気を誇るフットボールに加え、バスケットボールや野球、さらにはアイスホッケーなどが人気スポーツに挙げられているが、サッカー人気は低調。通常、レギュラー戦が地上波テレビネットワークで放送されることは皆無な状況だ。
今大会では米国チームのW杯優勝カップ獲得に大きな期待が寄せられたこともあったが、予想を超える人気ぶりに米報道は、「とうとう米国でサッカーが定着?」(ウォールストリート・ジャーナル紙)などと驚きをもって捉えている。FOXスポーツ部門の編成担当責任者は、「ワールドカップが引き金となり、ナショナル・チーム以外のチームや選手に脚光が当たるようになってほしい」と期待感をにじませている。
試合は米国が日本を5対2と圧倒的な強さで下し、99年以来4大会ぶり、史上最多となる3度目の優勝を果たした。