Netflix新規加入者数が増大 

世界最大の動画配信サービス米ネットフリックスが発表した201546月期の決算は、オリジナル番組制作費や海外市場拡大にともなう費用が嵩み、純利益は前年同期比63%減となる2630万㌦となった。

しかし、市場や同社自身の予想を上回る新規加入者数を獲得したことで、売上高は前年同期比23%増となる164000万㌦を記録した。同社株価はさらなる加入者数拡大を好感し、決算発表後約10%値上がり107㌦台をつけた。同社の株価は年初来2倍以上の値上がりを見せていて、市場から羨望の眼差しを受けている。

新規加入者の内訳を見ると、米国内が90万人、世界市場が240万人となる合計330万人。前年同期に獲得した170万人を大きく上回った。同社では今年79月期にはさらに360万人の新規加入者を獲得し総加入者数は6910万人を見込んでいる。

同社によれば、現在、米国内加入者総数は4230万人、世界全体では6560万人に達した。

破竹の勢いを見せるネットフリックだが、ネットフリックスの最高経営責任者(CEO)リード・ヘイスティングス氏はニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、「当面の課題は、社内に自信過剰ムードを充満させないこと。我々が得た加入者はたった6500万人程度。世界にはテレビ番組を見たい人が数十億人もいることを忘れてはならない」と、手綱を引き締めている。

ところで、人気の要因とされる頻度の高いオリジナル番組の投入がだが、同期もすでにヒット作になっている刑務所を舞台にしたブラックユーモア・ドラマ『Orange is the New Black』の第3シリーズやベテラン女優ジェーン・フォンダとリリー・トムリンを主役にしたコメディー『Grace and Frankie』など多数の新番組配信を始めている。

今後もオリジナル番組制作に積極的に取り組む姿勢を貫くことになりそうだが、2016年の番組制作予算は広報費用なども含め60億㌦に膨らむという報道もある。

また、事業拡大に欠かせない世界市場侵略については、今年は日本を始め、スペイン、イタリア、ポルトガルに進出を決めたほか、巨大市場である中国への早期進出も視野に入れている。ただ、ウォール街のアナリストの中には日本と中国について「両国は世界の中でも特異な市場。ネットフリックスが両市場を他国と同じように制覇できるかどうか不透明だ」などと懐疑心を示す向きもある。

ちなみに、同社は投資家に対し、「海外市場が黒字経営になるのは2016年末」との見通しを示している。

<テレビ朝日アメリカ 北清>