米TV2Q広告収入が不調  

 201546月期の米テレビ広告費が昨年同期比5%減少したことが明らかになった。米国内80%の広告代理店をモニターする調査会社「スタンダード・メディア・インデックス(SMI)」がこのほど発表したところによれば、今期は前期に見合う大きなスポーツ・イベントがなかったことが要因となった。前年同期は国際サッカー連盟(FIFA)が主催する世界選手権大会(W杯)の試合を中継した様々な特別番組が5億㌦以上の広告収入を得たことが大きくものを言った。SMIは前年同期にW杯がなければ今期のテレビ広告収入は3%減少に留まったと試算している。

広告収入の落ち込みは特に地上波テレビ4大ネットワーク(ABCCBSFOXNBC)で目立っている。全体にいえる視聴率低下傾向が広告出稿を鈍らせているためだ。だが、ネットワーク経営陣は、視聴率測定方法に欠陥があるためで、実際の番組視聴率はそれほど落ち込んでいないはずだと反論している。米国ではミレニアル世代と言われる若者層(1834歳)を中心に、番組をスマートフォンやタブレット型情報端末などテレビ受像機以外で見る傾向が高まっているが、これらデジタル視聴が通常の視聴率に加味されていないのが現状だ。

また、ネットワークテレビのテレビ番組編成は6月から8月にかけて夏休み状態。「いったん新シーズン(9月)が始まれば視聴者は戻ってくる」などの楽観論も聞こえる。

そして、テレビ業界に吉報がないわけではない。来年は大統領選挙に加え、連邦上下両院議員選挙などを含む選挙が控えているほか、五輪開催年でもあり、地上波テレビを中心に大型の広告収入が見込まれるからだ。

ところで、インターネット向けの広告費が急速に拡大しているが、選挙CMに限っていえば、テレビ媒体の独壇場になるという(米調査会社:キャンター・メディア)。次々に予備選挙を勝ち抜いていかなければならない候補者が、短期間により多くの有権者に到達できる媒体としてCM出稿先をテレビに絞っているためだ。

キャンターの予想では、来年の選挙に向け、テレビ媒体に出稿される選挙CM44億㌦規模。前回の大統領選挙時mの36億㌦を大きく上回る情勢だ。722日現在で16人もの候補が乱立する共和党陣営による支出が大きなインパクトを与える可能性が指摘されている。

そして、テレビの中で最も潤うのがローカル局。テレビCM全体の75%を占める33億㌦が転がり込むという。

<テレビ朝日アメリカ 北清>