2015年

8月

05日

全米最大のペイテレビ・サービス誕生

米連邦通信委員会(FCC)はこのほど、米通信大手AT&Tによる米衛星放送最大手ディレクTVの買収を承認すると発表した。買収額は約485000万㌦。米調査会社ライクマン・リサーチ・グループによれば、ディレクTVが提供するペイテレビ・サービス(地上波テレビ局の再送信とケーブル局の配信など)加入者数は2014年末の時点で2035万軒。AT&Tが展開するペイテレビ・サービス(Uverse:ユーバース)の加入者数594万軒を合わせると2600万世帯を超えことになり、全米最大のペイテレビの誕生となる。これまでの最大手はコムキャスト(CATV)の2238万軒。

ちなみに、ディレクTVは中南米にも進出しており、同地域での加入者数は1900万軒。AT&Tにとって携帯電話事業拡大時などの有益な踏み台となりそうだ。

AT&Tは合併後もディレクTVのブランド名と運営の独立性を保持する考えだが、現CEO(最高経営責任者)マイク・ホワイト氏は退任し、AT&Tエンターテイメント及びAT&Tインターネット・サービスの担当CEOジョン・スタンキー氏がディレクTV運営の責任者になるという。

今回の買収劇は、ペイテレビの拡大を狙っていたAT&Tと本格的なブロードバンド・サービスの展開を模索していたディレクTV双方の思惑が一致、成立した。国内携帯電話市場におけるシェアが限界に近づいたと感じるAT&Tにとって、ペイテレビ・ビジネスへの本格的な進出への足掛かりとなるメリットもある。

また、年々厳しさが増すテレビ局やケーブル局などからの再送信・配信料金値上げ攻勢に、最大規模のペイテレビ・サービスを楯に対抗できるとの目論見がある模様。


AT&T
CEO、ランドール・スミス氏はステートメントの中で、「(合併後の新会社は)テレビ番組はモバイル・ディバイス(スマートフォンやタブレット)を利用して視聴したいと思っている消費者の願いに応えるプロットフォームを提供できることになる」と述べ、今後はネット上のビデオ配信への積極的な進出を図りたい考えを示唆した。

なお、FCCは承認の前提としてAT&Tに対し①光ファイバー・ケーブル網を1250万軒に相当する世帯に拡大すること②選択された学校や図書館にギガバイト級の高速インターネットを提供すること③ブロードバンドを提供する際にいかなる利用者(社)も公平に扱うこと(ネットの中立性)④低額所得者世帯に割安のブロードバンド・サービスと提供すること、などの条件を示し、同社をこれを受け入れた。

<テレビ朝日アメリカ 北清>

American Media