コムキャスト、映画絶好調で増収増益

CATV最大手で傘下に娯楽・メディア企業大手NBCユニバーサル(NBCU)も抱えるコムキャストがこのほど201546月期決算を発表した。映画部門が大健闘したほか、ブロードバンド・サービス事業が好調だったこともあり純利益は前年同期比7.3%増となる214000万㌦を記録。売上高は同11%増の1874000万㌦に達した。

NBCUをみると、グループ全体の業績に大きく貢献したのが映画部門(ユニバーサル映画)。封切り後13日間で10億㌦を突破する記録的な興行成績をもたらした『ジュラシック・ワールド』を含め、『ワイルド・スピード』や『ピッチ・パーフェクト2』などヒット作に恵まれた。同部門の売上高は前年同期比92.7%増となる226600万㌦となった。また、テーマパーク部門売上も入園料金値上げと入場者増のおかげで25.7%増の77300万㌦と映画に続き好調だった。

一方、NBCUの基幹ビジネスであるケーブル局部門は広告収入減などがたたり売上高は1%減となる245000万㌦。地上波テレビNBCネットワークなどを抱えるブロードキャスト・テレビジョン部門はほぼ横ばいの181300万㌦と振るわなかった。前年同期NBCU全体の売上高は前年同期比20.2%増の723000万㌦。

コムキャスト設立以来の本業であるケーブル・コミュニケーション部門の売上高は、前年同期比6.3%増となる1172900万㌦を記録した。映像配信サービスは同期69000軒の加入者を失ったものの、前年同期の144,000軒減から改善されたことや加入料値上げが効き、売上高は3.7%543100万㌦に達した。

大きく貢献したのがブロードバンド。前年同期の203,000軒には及ばなかったものの新規加入世帯180,000軒を獲得、売上高は10%増となる31100万㌦となった。また、ビジネス向けのブロードバンド通信やケーブル電話などの売上高は20.4%の増加となり116100万㌦を記録した。

同社は今年4月、CATV2位のタイムワーナー・ケーブルの買収を米規制当局の厳しい反対にあって断念。その後、インターネット上の番組再送信・配信サービス「ストリーム(仮称)」やオンライン・ビデオゲーム・サービスの立ち上げに着手するなど、若者消費者の取り込みにに重点を置いたビジネス展開を始めている。若者層を中心に、これまでCATV部門の機関ビジネスであった映像配信サービス(ペイテレビ)からの離反者が続出している一方で、ブロードバンド・サービスへの加入者が増えていることなどを鑑み、新しい戦略を打ち立てている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>