米娯楽・メディア企業大手ウォルト・ディズニーがこのほど発表した2015年4-6月期決算は、好調だった映画部門に加え、消費者向け商品部門が健闘し、純利益は前年同期比11%増となる24億8300万㌦を記録した。また売上高は同5%増の131億100万㌦となり、増収増益となった。
ただ、増収だったとはいえ、売上高は市場予測を若干下回ったうえ、同グループ全体の稼ぎ頭的存在であるスポーツ専門局「ESPN」の配信を取りやめたペイテレビ・サービス(CATV、衛星放送、電話会社)が増えたことで、既存テレビビジネス・モデルへの先行き不安感が広がり、同社株価は決算発表翌日9%も下落した。
グループの基幹部門である「メディア・ネットワークス」部門の売上高は前年同期比5%に留まる57億7000万㌦となった。内訳は、ESPNや家族向けのディズニー・チャンネルなどを傘下に置くケーブル・ネットワークスの売上高が5%増の41億4000万㌦。ABCネットワークを含む地上波テレビの売上高は4%増となる16億3000万㌦だった。特筆すべきは、これまで絶対的な人気を誇ってきたESPNに陰りが見え始めたことだ。視聴率低下に伴う広告収入減や経費削減のために、大物キャスターとの契約更新を断念したことなどに懸念を寄せる投資家も少なくないようだ。
だがディズニーの最高経営責任者ボブ・アイガー氏は、「向う5年間はペイテレビによるESPNを含むベーシック・チャンネル・モデルが崩れることはない」との見通しを示し、当面はESPNのネット配信移行などは眼中にないことを強調した。
同部門に続く売上高を記録したのがテーマパークなどを傘下に置く「パークス&リゾート」部門。売上高は海外のテーマパーク、特に香港ディズニーランドの入場者数が減少したことやドル高の影響で4%増にとどまる41億3100万㌦だった。
最も活況を呈したのが「スタジオ・エンターテイメント」部門。『アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン』や『シンデレラ』などの大ヒット作に恵まれ売上高は前年同期比13%増となる20億4000万㌦を記録した。特に世界市場におけるアベンジャーズの興行成績は14億㌦に達する好調ぶりだった。
また、消費者向け商品部門も好調だった。相変わらず『アナと雪の女王』の関連グッズが人気だったことや、『アベンジャーズ』や『スターウォーズ』などのキャラクター商品の売上が好調で、同部門売上高は前年同期比6%増となる9億5400万㌦と貢献した。