米共和党TV討論会、記録的視聴率

 2016年米大統領選挙の共和党候補による第1回目のテレビ討論会が86日、オハイオ州クリーブランド市で開催された。167月に開催が予定されている共和党大会と同じ会場が使われた同討論会の模様は、主催者のニュース専門局Foxニュース・チャンネル(FNC)が支持率上位10人を招きプライムタイム(米東部時間午後9時)で全国向けに放送した。2時間にわたる討論番組は平均視聴者数約2400万人を獲得、予備選中の討論会としては米テレビ史上最高記録を樹立した。広告主が報道番組でターゲットにしている視聴者層(2554歳)でも790万人の視聴者数を引き付けた。

 FNC通常のプライムタイム番組の数倍にあたる高視聴率となったほか、ケーブル局全体の番組でも歴代9位につける高視聴率となった。ちなみに、上位8番組はすべてスポーツ専門局ESPNが放送した大学フットボール・プレーオフ中継番組。また、スポーツ番組以外のケーブル局トップ番組にランクされているホラー・ドラマ『ウォーキング・デッド』(AMCネットワーク)の平均視聴数に660万人の差をつける圧倒的な強さ。また、今年6月、地上波テレビABCネットワークが放送し、同ネットワーク史上最高記録となった人気スポーツ番組NBA(米プロバスケットボール協会)ファイナルの平均視聴者数2000万人をはるかに上回る記録でもあった。

 人気の要因となったのが、候補者の一人ドナルド・トランプ氏(69)の存在。不動産王トランプ氏は、米テレビのリアリティー番組などでも知られる有名人。奔放な発言で物議を醸し出すことでも知られる人物だが、目下、乱立する共和党候補の中でトップの支持率を得ていることもあり、注目度ナンバーワンだ。同討論会でも様々な爆弾発言で圧倒的な存在感を発揮。翌日のテレビ番組や新聞各紙も一斉にトランプ氏に焦点を当てるほどで、他共和党候補がかすんでしまうほどだ。

 なお、現在、共和党からはトランプ氏を筆頭に17人の候補が立候補しているが、トップ10人に選ばれなかった下位7人の候補者の討論会は同日午後5時に同じ会場で開催された。こちらの視聴者数も610万人と大健闘した。

 次回共和党討論会は今年916日、カリフォルニア州シミバレーで開催の予定。ニュース専門局CNNが主催するが、トランプ旋風次第では視聴率競争でFNCに大きく水をあけられているCNNにとって人気挽回への大きな起爆剤になる可能性もありそうだ。

<テレビ朝日アメリカ 北清>