米娯楽・メディア企業大手「21世紀フォックス」の2015年4-6月期決算は、傘下の地上波テレビや映画部門が不調だったこと、さらにはスポーツ物件の放映権料が負担になったことなどから、純利益は前年同期の9億9900万㌦から大きく落ち込む8700万㌦。売上高は前年同期比26.2%減の62億1000万㌦と減収減益を記録した。ちなみに、売上高の市場予測平均は64億1000万㌦だった。
ほぼ同時に発表されたウォルト・ディズニーなど他メディア企業とともに、これまでフォックス社の成長エンジン的役割を果たしてきたケーブル局部門の勢いに陰りが見え始めたと受け取った投資家の間に悲観的なムードが広がり、同社の株価は決算発表後一時7%ほどの下落となった。
今年7月、同社の最高経営責任者(CEO)を退任したルパート・マードック氏の後任に昇格したルパート氏の次男ジェームズ・マードック氏は、ケーブル局の配信や地上波テレビの再送信などにあたるペイテレビ・サービスの間でケーブル局の配信契約を打ち切る動きが出てきていることに関し、「フォックス傘下のケーブル局は米国内外ともに順調な成長を見せており、心配はしていない」と悲観論を打ち消した。マードック氏によれば、「Foxニュース・チャンネル」や若者向け編成「FX」など既存のチャンネルが勢いを失っているものの、スポーツ専門局「Fox Sports 1」やFXのスピンオフ局「FXX」などの人気が十分補っているという。
ケーブル・ネットワーク・プログラミング部門の売上高は、Fox Sports 1やFXXなどの高視聴率にともなう広告収入増のおかげで7%増の増収となったが、営業利益は前年同期比ほぼ横ばいの12億2000万㌦に終わった。スポーツ物件の高額放映権料やドル高の影響を受けた海外からの収入減が足を引っ張った格好だ。
地上波テレビFoxネットワークや直営ローカル局などを傘下に置く「テレビジョン」部門の営業利益は、プライムタイム番組の視聴率低下で広告収入が14%も減少したこと、サッカー女子ワールドカップ(W杯)や全米オープン選手権(ゴルフ)の放映権料が重圧となり、前年同期比22%の減少となる1億1300万㌦となった。
映画部門は、前年同期にヒット作となった『X-Men: フューチャー&パスト』に見合う映画が公開されなかったことなどから、営業利益は21%の減少となる2億6900万㌦となった。
なお、6月で終わった会計年度通期の売上高は9%減少となる289億9000万㌦だった。