TW、番販・ビデオゲーム好調で増収増益

 米メディア・娯楽大手タイム・ワーナー(TW)がこのほど発表した201545月期決算は、番組制作部門などが好調だったことを背景に、売上高は前値同期比8.2%増となる735000万㌦。純利益は14%増の97100万㌦を記録し、市場予想を上回る増収増益となった。

 TWの最高経営責任者(CEO)ジェフリー・ビューケス氏は投資家に宛てたステートメントの中で、特に同社傘下の有料チャンネル「HBO」の功績が際立っていることを力説した。同チャンネルはテレビ業界のアカデミー賞と言われるエミー賞に126カテゴリーと過去最高のノミネート数を獲得したほか、15年連続で“最も候補数の多いネットワーク”に選ばれ続けている。

 また、今年4月に立ち上げ業界の話題を呼んだHBOのインターネット有料配信サービス「HBO Now」については、同サービス加入者中、HBOを解約した人が1%に満たないことから“共食い”現象は見当たらず成功裏に展開しているとの見方を示した。

 さらに、同社の番組制作部門であるワーナー・ブラザース(WB)を取り上げ、9月から始まる新シーズン(201516年シーズン)向けに様々な地上波テレビネットワークに合計62の番組を供給していることを誇らしげに披露した。WBについては、今年前半に若者向けのビデオゲーム市場でナンバーワン・メーカーになったことも明らかにした。

 部門別で最も売上高の多かったのがWB部門。映画部門はさしたるヒット作にめぐまれなかったものの、『バットマン:アーカム騎士』や『モータルコンバットX』などビデオゲームの売り上げや人気コメディー番組『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則(邦題)』の再放送向け番組販売、さらにはネット配信大手Hulu(フールー)に対する往年のコメディー番組『となりのサインフェルド(邦題)』大型番販などが功を奏し、売上高は前年同期比15%となる33億㌦に達した。

 WBに続いたのがCNNTNTなどケーブル局群を束ねるターナー部門。ドル高の影響で海外市場における広告収入が前年同期比1%の減収となったものの、4月上旬まで続いた大学バスケットボール・ファイナル「マーチ・マッドネス」の高視聴率がもたらした広告収入増、そしてこちらもフールーへの番販やペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)からの配信料値上げなどが寄与し、売上高は3%増となる28億㌦だった。今後はオリジナル番組制作の強化に当たるという。

<テレビ朝日アメリカ 北清>