米国ではCATVや衛星放送、さらには電話会社が提供する映像配信サービス「ペイテレビ」に加入してテレビを見ている人が9割近くに上るが、ペイテレビのみに依存している世帯が急激に減っている。ネット上の番組視聴人気のおかげだ。
米調査会社NPDグループによれば、今年4-6月期にスマートテレビなどと呼ばれるインターネット接続機能内蔵型テレビや外付けネット接続器を保有していると答えた世帯は昨年同期比400万軒増となる4600万軒に上ったことが明らかになった。
ちなみに、ネット接続器には、RokuやアップルTV、さらにはビデオゲーム機、ブルーレイ(BD)レコーダーなどが含まれる。
スマートテレビを保有し、実際にインターネットに接続している世帯も、前年同期の61%から69%と着実に増えていることも分かった。ペイテレビに加入しながらもネットを利用した番組視聴を楽しむ消費者も急増している模様だ。全米広告協会(ANA)の調べでは、2015年1-3月期、ネット接続器を利用した番組視聴が前年同期比380%増と急拡大している。
NPDは、「ネット接続機能が(大衆)市場に浸透したことになる」とし、「ネットワークテレビ番組などを(積極的に)ネット配信せざるを得ない状況になった」と分析している。
動画配信番組をテレビで見る世帯が増えている背景には、スマートテレビの売り上げが増えていること、接続器の選択肢が増えたこと、ネット配信のコンテンツが大幅に増えたこと、などがあげられている。テレビのリモコンにネットフリックなど動画配信サービス会社のボタンが配置されるようになったこともテレビを介したネット配信番組視聴の普及を後押ししている。
ちなみに、動画サービスの人気トップ5には、ネットフリックスを筆頭に、ユーチューブ、アマゾン・インスタント・ビデオ、フールー、米有料チャンネルHBOの動画配信サービス「HBO Go」が挙がっている。
そして、テレビを利用した動画視聴の急伸に、米広告主も注目し始めている。動画番組の視聴率測定がシステム化されていないことなどから、具体的な番組視聴状況を把握できず、同プラットフォーム向け広告予算はテレビ広告全体の1%未満に留まっているが、ANAの最高経営責任者(CEO)ボブ・リオダイス氏はステートメントの中で、「コネクテッド・テレビ(インターネットテレビ)はテレビ広告業界に新たな機会をもたらすあだろう」と期待を寄せている。