米テレビ界のアカデミー賞ともいわれ、優れた番組や俳優などに与えられる第67回プライムタイム・エミー賞の発表と授賞式が9月20日、ロサンゼルスで開催された。同賞の中でも最高の栄誉とされる“傑出したドラマ・シリーズ”にはこれまで6度にわたりノミネートされていた有料チャンネル「HBO」の人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』が念願のトロフィーを獲得した。 HBOは、ゲーム・オブ・スローン(R.R.マーティン著のファンタジー小説『氷と炎の歌』を原作としたスペクタクル)のほかにも、架空の女性副大統領を題材にした『Veep(ビープ)』が“傑出したコメディー・シリーズ”賞に選出され両主要部門賞を席巻したほか、合計14部門でエミー賞に輝く圧倒的な強さを見せつけた。ちなみに、地上波テレビ4大ネットワークは、ABCが2部門、NBCとCBSが各1部門、合計獲得数は4とHBOに大きく水をあけられた。FOXネットワークは入賞を逃した。
また、今回のエミー賞では、連続ドラマ部門の主演女優賞に有色人種としては初となるヴァイオラ・デービスさんが選ばれたことが特筆される。地上波テレビABCネットワークの司法ドラマ『ハウトゥー・ゲット・アウェー・ウィズ・マーダー』で辣腕弁護士を演じるデービスさんは受賞スピーチの中で、「白人女優と非白人女優との違いは、チャンスが得られるかどうかだけ。役割がなければエミー賞は獲得できない」と壇上でアピール。これまで黒人女優にあまりチャンスが与えられてこなかったことを示唆したものだが、会場はスタンディング・オベーションで応えていた。
一方、ハリウッドの台風の目になっている動画配信サービス番組は、アマゾン・インスタント・ビデオのオリジナル作品『Transparent(トランスペアレント)』のジェフリー・タンバーさんが連続コメディー部門の主演男優賞に輝いた。
なお、同授賞式の模様は、地上波テレビFOXネットワークが全国向けに生中継したが、ニールセン社の速報によれば、平均視聴者数は1190万人と、過去最悪の記録となった。広告主がターゲットにしている若者層(18-49歳)の視聴率も昨年比14%も落ち込む3.5%だった。裏番組にNFL(米プロフットボール協会)中継番組『サンデーナイト・フットボール』(NBCネットワーク)が放送されたことが大きかったが、昨年は1560万人を魅了し活況を呈していただけに、関係者は落胆の色を隠しきれない様子。