フールー、ノーCM版を開始

 米動画配信サービス大手Hulu(フール)はこのほど、番組内にCM(コマーシャル)を挿入しない新サービス“ノーコマーシャル・プラン”をスタートさせた。動画配信サービスの巨人、Netflix(ネットフリックス)に対抗できるライバルとしての座を確保するのが狙いだ。新サービスの月額料金は11.99㌦。

 他社の月額料金約8㌦に比べ4㌦も高いものの、“CM嫌い”の視聴者に歓迎されるのか、それとも高額料金が障害となって受け入れられないのか、新サービスの行方に注目が集まることになりそうだ。

 米国ではネットフリックス、「アマゾン・インスタント・ビデオ」、フールーが動画ストリーミング・サービス3強とされているが、フールーは上位2社に大きく水をあけられているのが現状。フールーでは無料版に加え、さらなるコンテンツにアクセスが可能なプレミアム版(月額7.99㌦)ともに飛ばし視聴ができないCMを挿入していて、加入をためらう消費者が少なくないとされている。ソーシャルネットワークなどではCM付きに対する苦情が数多く寄せられているという。

 “CMなしサービス”を決断したフールーの最高経営責任者(CEO)マーク・ホプキンス氏は、「CMが挿入されていることでフールーへの加入を見合わせている消費者がいるのは確かだ。新サービスはフールー加入を見合わせている消費者を引き付けることができるはずだ」と期待を寄せている。

 これに対し、動画配信サービスに広告を出稿している企業からは、「CMがないからといって12㌦も払って動画(番組)を見る人はあまりいないのではないかなどと懐疑的な見方も出ている。フールーが広告支援型配信サービスから全面撤退することにはないだろう」(イニシアティブ社)などと、今後も動画番組への広告出稿は続けていくとの考えも示されている。

 フールーは目下、新サービスのほか、米テレビ界を代表する往年のコメディー番組『サインフェルド』の動画配信権を獲得したよか、最近では『ハンガー・ゲーム2』や『トランスフォーマー/ロストエイジ』など人気映画を放送する有料チャンネル「Epix(エピック)」からのコンテンツ供給契約を締結するなど、コンテンツの拡充に向け果敢な攻勢に出ている。

 ちなみに、フールーの米国内加入者数は900万人。ネットフリックスの4100万人に大きく水をあけられている。(アマゾンの加入者数は未公開)。

<テレビ朝日アメリカ 北清>