デジタル市場調査2社が合併へ

 テレビ番組の動画配信状況など、デジタル市場の分析にあたる米調査会社大手コムスコアはこのほど、別の調査会社レントラック社を買収することで合意したと発表した。ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、コムスコアの時価総額は約17億㌦。レントラックは約69700万㌦。

 コムスコアの昨年の売上高は32900万㌦、レントラックは1300万㌦。長年に渡って米国内の視聴率測定市場を独占しているニールセン社の売上高63億㌦には遠く及ばないが、ネット上のテレビ番組視聴率の大局的な測定に手間取っているニールセン社にとって強敵となる可能性がありそうだ。ちなみに、ニールセンの時価総額は167億㌦。

 広告主がターゲットにしている若者層のテレビ離れ傾向が顕著になっている米テレビ界からは今回の合併の動きを歓迎する声が上がっている。「視聴率が下降線カーブを描いているのは、若者層がテレビ番組を見なくなったからではなく、パソコンやスマートフォンあるいはタブレット型端末などいわゆるデジタル・ディバイスを利用した番組視聴に軸足を移しているからだ」というのが大方の主張だ。

 コムスコアによれば、55歳以上の視聴者の90%が番組はテレビ(受像機)で見ると答えたのに対し、1834歳層では66%に留まっている。

 一方、ニールセンも攻勢に出ている。同合併劇発表とほぼ同時に、地上波テレビCBSネットワークの番組の視聴率にニールセンが提供するデジタル視聴率が包含されることになったことを発表した。デジタル視聴状況が統一的に反映されるのは初めてのことという。

 ニールセンによれば、CBSが昨秋に立ち上げたインターネット上の番組配信「CBS All Access(オールアクセス)」に同社が開発した技術(SDK metering technology

を融合、吸いあげたデータを利用する。オールアクセスは、有料サービス(月額5.99㌦)。CBSネットワークと同系列局の番組が放送と同時に見られるライブ・ストリーミング・サービスに加え、過去放送された番組を任意に選んで視聴できるオンデマンド・サービスも合わせて提供している。

 なお、ニールセンは、デジタル配信される番組内のCM(コマーシャル)視聴率を分析する「トータル・オーディエンス・メジャメント」サービスを年内に立ち上げることも発表。同サービスは、これまでベールに包まれていた有料動画配信サービス「ネットフリックス」の視聴率も測定するという。

<テレビ朝日アメリカ 北清>