Netflix、期待外れの新規加入者減

 世界最大の動画配信サービス(有料)米ネットフリックス(Netflix)はこのほど201579月期決算を発表、同期における新規加入者数が同社の見通し115万を下回る88万人にとどまったことを明らかにした。

 新規加入者数が見通しを下回るのは珍しいこと。同社は、「加入者が使用しているクレジットカード情報がカード会社が進めているチップ内蔵型への移行作業の影響を受け抹消され、加入者の“意図しない解約”につながったため」と説明している。

 しかし、市場アナリストの間では、この説明に首をかしげる向きが少なくない。Hulu(フールー)やインターネット通販大手アマゾンのインスタント・ビデオに加え、人気有料チャンネルHBOが新たに立ち上げたオンライン配信サービス「HBO Go」などに顧客を奪われためではないか、と指摘する声が上がっている。

 いずれにしても、米国内の新規加入者が88万人増えたことや、海外における加入者数は同社見通しの240万人を上回る274万人を得たことなどから同期の売上高は、前年同期比29.3%増となる158000万㌦となった。売上高の内訳は、米国内が106000万㌦、海外は52000万㌦。

 なお、同社では動画配信とともにDVDの郵送サービスも展開しているが、こちらの売上高は前年同期比15.6%減の15752万㌦。加入者数は506万人となった。

 同期の純利益は、相変わらずオリジナル番組制作費や海外市場拡大にともなう費用がかさみ、前年同期比50.36%減少となる2943万㌦に留まった。

 ところで、サービス拡大が破竹の勢いのネットフリックに対し番組を提供するメディア企業などからは警戒感も示されている。Foxネットワークなどを傘下に置く21世紀フォックスのCEO(最高経営責任者)ジェームズ・マードック氏は投資家向けの説明の中で、「今後はフールーとのビジネスを増やしていきたい」と述べ、ネットフリックスと一定の距離を置いていく考えを示した。

 これに対し、ネットフリックスのCEOヘイスティングス氏は決算報告の中で、海外市場拡大のさらなる推進。オリジナル番組制作強化の方針維持が同社の進むべき道であることを強調した。ネットフリックスの来年における編成予算は50億㌦に達する模様。オリジナル・コンテンツ予算はその10%を占めるとみられている。

 同社は1016日、オリジナル映画『Beasts of No Nation』を国内の限定された映画館とインターネット上で同時公開する新しい試みにも着手、話題を呼んでいる。

<テレビ朝日アメリカ 北清>