YouTubeが“CMなし”サービス導入

 人気動画投稿サイト「ユーチューブ」が1028日からテレビ番組などをCM(コマーシャル)なしで配信する有料サイト「YouTube Red」をデビューさせると発表した。月額料金は9.99㌦。パソコンやスマートフォン、さらにはタブレット型情報端末などデジタル・ディバイスを使って、ユーチューブ上で配信される番組などのコンテンツにアクセスできるほか、ビデオ・ゲームや音楽配信サービス「YouTube Music」などのサービス利用も可能になる。

 また、見たい番組を、いったんデジタル・ディバイスにダウンロードし、見たい時に(インターネット接続ができない場所でも)視聴することができるオンデマンド・サービスも提供する。10年間にわたり無料で動画を楽しんできたユーチューブ・ファンが背を向ける可能性もありそうだが、CM付きの無料サービスはこれまで通り継続する。

 ユーチューブの利用者は世界で10億人以上。今年の広告収入は95億㌦に達する勢いで、既存サービスは順風満帆といっていい状況。しかし、若者層の間でNetflix(ネットフリックス)などCM無しのサービス人気が急上昇中なことに注目した模様。

 一方、ユーチューブ・レッドの立ち上げと同時に、CM無しの別なサービスが立ち上がることも明らかになった。米メディア企業グループNBCユニバーサル(NBCU)はこのほど、コメディー番組専門の有料オンライン・サービス「SeeSo(シーソー)」を20161月に立ち上げることを発表した。月額料金は3.99㌦に設定され、番組内にCM(コマーシャル)はいっさい挿入されない。

 シーソーは、NBCU傘下の地上波テレビNBCネットワークが深夜に放送するトーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』などが翌日に視聴できるほか、同ネットワークの人気コメディー番組『サタデーナイト・ライブ』、『30ロック』、『ザ・オフィス』などの過去のエピソードがオンデマンド方式で見られる。また、月間35本のコメディー映画も提供されるほか、シーソー向けのオリジナル番組も初年度に20本を目標に制作される予定。

 同サイト立ち上げを指揮したNBCUのエバン・シャピロ専務はウォールストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、テレビ向けの大事なコンテンツ(番組)をひたすら放送のみに温存するよりも、インターネット上に開放することが時代の潮流だとのコンセンサスが社内に出来上がっていることを紹介している。数百万人単位の加入者獲得が目標。

<テレビ朝日アメリカ 北清>