ティボが簡易CM飛ばし視聴機能

 HDD内蔵型のデジタル・ビデオ・レコーダー(DVR)のパイオニアとして知られるTiVo(以下、ティボ)はこのほど、録画した番組をボタン一つでCM(コマーシャル)飛ばし視聴ができる新型DVRBolt(ボルト)」を発売した。これまでのモデルは飛ばし視聴する際に、ボタンを押し続けCM枠が終了したことを目で確かめながら操作をしなければならず、「(CMをスキップできるのはいいが操作が煩雑だ」と考えるユーザーが少なくなかった。ボルトはそんな利用者を念頭に開発されたという。

 しかし、いとも簡単にCM飛ばし視聴が可能になるとあって、広告主やテレビ局などから懸念が寄せられる可能性を指摘する向きもある。衛星放送大手ディッシュ・ネットワークが加入者に提供しているDVR内蔵型受信機(STB)「Hopper DVR」(ホッパー)も同様な機能を提供するが、ボルトの登場にタイミングを合わせたかのように、地上波テレビFOXネットワークがディッシュを相手取って再送信契約違反として裁判所に訴えた。

 ティボのジム・デニー副社長は、「CMをスキップするかどうか、あくまで利用者の自由意思。裁判沙汰にはならないはずだ」と述べている。

 一方、CATVや衛星放送、さらには電話会社が提供する映像配信サービス(ペイテレビ)からの離反現象(コードカッティング)にブレーキをかける効果もあるのではなどと指摘する声も上がっている。コードカッティングは広告主や放送事業者がメイン・ターゲットにしている若者層の間で進行しているが、その理由として「既存放送番組にCMが多すぎる」ことが指摘されている。

 ボルトは、購入価格が300㌦、会員制で年会費は15㌦(初年度は免除)。ボルトには若者に人気急上昇中の動画配信サービス・ビッグスリー最大手ネットフリックスと2位アマゾン・インスタント・ビデオ、さらにはユーチューブへの接続ボタンが組み込まれている。各社が配信予定の高画質4K番組の受信も可能。ちなみに、動画配信大手3位のフールーはソフトウェアが開発され次第、組み込まれる予定という。また、CATVなどが提供するケーブルカード用のスロットも備わっている。

 ボルト機能が利用できるのは、地上波テレビネットワーク系列を含む約20社のローカル局とケーブルチャンネルが提供する番組。“クイック・モード”を使えば、プライムタイム1時間番組を30分程度に短縮して視聴することもできる。

<テレビ朝日アメリカ 北清>