米インターネット大手ヤフーは10月25日、米テレビ界で圧倒的な人気を誇るNFL(米プロフットボール協会)試合を無料でネット中継した(米東部時間午前9:35-午後1時)。NFLレギュラー戦がネットをメインに中継されたのは初めてのこと。ヤフーによれば、ロンドンで特別開催された「バッファロー・ビルズ対ジャクソンビル・ジャガーズ戦」の模様は中国を除く全世界に発信され、ユニークビューアー数は1520万件に達した。
平均視聴者数は236万人。このうち164万人は米国内からのものだった。
地上波テレビネットワークが週末午後帯に放送するNFL試合番組の平均視聴者数1900-2000万人、NBCネットワークが日曜夜に放送する『サンデーナイト・フットボール』の同2400万人には及ばないが、ヤフーは確かな手ごたえを得たようだ。
ヤフーのメイヤーCEOは同社立て直しの中心に若者に圧倒的人気を博しているビデオ・コンテンツ配信拡大を据えており、今回のロンドン試合ネット中継権獲得に1500-1700万㌦を投入したことが伝えられている。大胆な企画に広告主からも大きな関心が寄せられ、同番組のスポンサーに30社が名乗りをあげ、すべてのCM枠が完売したという。30秒CMの単価が5万㌦(バラエティ誌)と他NFL番組と比べ超破格だったこともあり、各スポンサーは宣伝効果等に満足しているようだ。
ネット中継番組でたびたび指摘される画面が凍結したり、画像にむらが出るなどのトラブルも最小限に留まり、大きな混乱はなかった模様。
今シーズン、ヤフーがネット中継するのはこの一試合のみだが、同社は来期以降さらなる中継権獲得を模索している模様。
ところで、米テレビ界今シーズン、ドラマやコメディー番組の視聴率が停滞気味の中で、昨年度を超える高視聴率を獲得しているのがNFL中継番組。開幕戦後約1ヶ月が経過した時点で、CBS、NBC、FOXネットワーク(地上波テレビ)、スポーツ専門ケーブル局ESPNそしてリーグが運営するケーブル局NFLネットワークが放送したフットボール番組に投入された広告費は10億㌦に迫る勢いを見せている。ちなみに、昨シーズン放送された番組の最も高価な30秒CM料金は『サンデーナイト・フットボール』の62万㌦7300㌦(平均)とされている。
CBSコーポレーションのムンベスCEOはNFL番組について、「絶大な力を持つ番組。いずれのメジャー・ネットワークもNFLなしでは生存できない」と断言している。