米CATV(ケーブルテレビ)業界に相次いで吉報が届いている。同業界の基幹事業ペイテレビ(映像配信)サービスを解約する動き、いわゆる“コードカッティング”に一定の歯止めがかかっていることが明らかになったからだ。米CATV最大手コムキャスト(11月5日号既報)に続き同2位タイムワーナー・ケーブル(TWC)と4位チャーター・コミュニケーションズ(以下、チャーター)はこのほど相次いで2016年7-9月期の決算を報告したが、映像配信からの解約者数が極端に減ったり、社によってはむしろ増加したことが分かった。
コードカッティングの近況を見ると、15年4-6月期にペイテレビ全体で62万5千軒の加入者を失い、パニックムードを引き起こしていた。ペイテレビ加入者が減れば、テレビ離れを加速させることになり、放送事業にも悪影響を与えるなどとする懸念も広がり、テレビ局やケーブル局を運営するメディア企業の株価急落の流れを作っていた。しかし、今回一連の決算報告にウォール街などからは、コードカッティング現象を見直すべきではないか、などの声も上がっている。
さて、TWCの決算報告内容を見ると、同期の映像配信サービスからの解約者数はわずか7千軒。減少数は過去9年で最小のものとなった。一方、チャーターは1万2千軒増と、9千軒を失った前年同期から大きく反転した。
TWCは、映像配信サービスが持ちこたえたことに加え、ブロードバンド・サービスへの加入者が増えたことがものを言い、売上高は前年同期比3.6%増となる59億2000万㌦となった。特に企業向けのブロードバンド・サービスが好調だったことが特筆される。企業向けサービスが、TWCのみならずCATV全体にとって映像サービスに代わる重要事業になりつつあるようだ。
同社のペイテレビ加入者数は1077万軒。純利益は税務上の問題などから同12.4%減4億3700万㌦だった。
チャーターを見ると、映像配信サービスが好調だったことに加え、こちらもブロードバンド・サービス契約者数が伸びたことが大きく寄与し、売上高は前年同期比7.2%増となる24億5000万㌦を記録した。純利益は5400万㌦。
チャーターは15年4月、TWC買収(総額450億㌦)を発表しているが、現在米連邦当局の審査待ち。また、CATV6位のブライト・ハウス・コミュニケーションズの買収にも乗り出していて、合併が認められればコムキャストにつぐ全米第2のCATVに生まれ変わる。