米娯楽・メディア企業大手ウォルト・ディズニーがこのほど発表した2015年7-9月期決算は、グループ全体の屋台骨的存在であるスポーツ専門局ESPNが健闘したことなどから、売上高は前年同期比9.1%増となる135億1200万㌦。純利益は市場予測を上回る7.3%増16億900万㌦となり、増収増益を達成した。
4-6月期は増収増益にもかかわらず、米ケーブル局全体を代表する有力チャンネルESPNの配信世帯数が減ったことから市場に既存メディアへの先行き不安が広がりディズニーはもとより他メディア企業の株価が軒並み下落する事態となった。だが今期はESPNが巻き返し、コードカッティング(ペイテレビからの解約)拡大懸念が薄らいだ形となった。
同社の主力事業であるメディア・ネットワークス部門は、ESPNの広告収入増や配信料収入が拡大したことが大きく貢献し、全米オープン・テニスや大リーグへの放映権料などによる編成予算超過を補った。同部門の売上高は前年同期比12%増となる58億3000万㌦となった。同社幹部は、「ESPNのブランド力は引き続き強固なことが証明された」とアピールしている。ちなみに、ケーブル局群の売上高は12%増42億5000万㌦。地上波テレビ事業は10%増15億8000万㌦だった。
映画部門は、同期に公開されたアニメ映画『Inside Out (インサイド・ヘッド:邦題)』やスーパーヒーロー映画『Ant-Man(アントマン:邦題)』が大ヒットしたもののDVD販売などが不調で、売上高はほぼ横ばいの17億8000万㌦。
パークス&リゾート部門は、来春オープン予定の上海ディズニーの建設費がかさんだことや香港ディズニーランドが不調だったものの、米国内のテーマパークが好調だったことから10%増43億6000万㌦だった。
なお、ボブ・アイガーCEOは、決算報告の祭に、番組や映画のネット配信サービス「ディズニー・ライフ」を英国でデビューさせることを発表。デジタル配信サービスを積極展開していく考えを示した。
一方、投資家の関心は12月に公開予定の映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に集中。興行成績が20億㌦にも達する史上最大級の人気映画になるとの観測もあり、同社にとって明るい話題となっている。
15年通期は、映画部門、パークス&リゾート部門、消費者向け商品部門が健闘、軟調だったメディア部門をカバー、売上高は7.5%増の524億6500万㌦、純利益が11.7%増の83億8200万㌦とともに過去最高。5年連続で増収増益を記録した。
<テレビ朝日アメリカ 北清>