CBS、バイアコムは減収

 世帯視聴率ナンバーワンCBSネットワーク(地上波テレビ)などを傘下に置く米メディア企業大手CBSコーポレーションがこのほど発表した201579月期の決算は、有料オンデマンド・サービス(SVOD)などへの番組再販が不調だったことが要因となり、売上高は前年同期比3%減となる326000万㌦だった。純利益は同74%42600万㌦に終わった。前年同期は傘下の屋外広告会社「CBS Outdoor」を売却したことで増益となった。

 レスリー・ムンベスCEOは決算報告の中で、テレビ放送部門が好調を維持するとの楽観的な見方を示しながら、若者層で進んでいる従来型のテレビ視聴離れに対応するため、ネット配信サービス充実の重要性を強調。同社が立ち上げた「CBS All Access」向けに往年の人気SFドラマ『スター・トレック』の新シリーズを17年目標に配信する考えを明らかにし、他サービスとの差別化に自信のほどを見せた。放送外収入増収をネット配信サービスに託す考えを示したものともいえそうだ。

 部門別の業績を見ると、CBSネットワークを含むエンターテイメント部門の売上高は1%増の193000万㌦。有料チャンネル「Showtime」を含むケーブル・ネットワーク部門の売上高は15%減の52600万㌦。地方局を抱えるローカル・ブロードキャスティング部門お売上高は、6%63800万㌦。出版部門は2%2300万㌦だった。

 一方、米メディア王サムナー・レッドストン氏が率いるもう一つのメディア企業バイアコムの同期決算は、映画部門(パラマウント映画)とケーブル局広告収入がともに不調で、売上高は前年同期比5.1%減となる379000万㌦と市場の予想(388000万㌦)より悪い結果となった。純利益は税務上の優遇措置などから21%増となる88400万㌦だった。

 同社は主にケーブル局を束ねるメディア・ネットワークス部門とパラマウントなどを傘下に置くフィルムド・エンターテイメント部門からなるが、基幹事業であるメディア・ネットワークス部門は、若者向け専門局MTVや子供向けチャンネル、ニコロデオンなどの視聴率が不調で広告収入が低下したが、ペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社)からの配信料収入が好調だったことで売上高は4.6%279000万㌦となった。

 しかし、全体の足を引っ張ったのが映画部門。前年同期に大ヒット作となった『トランスフォーマー/ロストエイジ(邦題)』に見合う作品がなかったことから売上高は24%と大幅に減少の103000万㌦だった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>