2015年10月のテレビ媒体向け広告出稿量が2014年1月以来最高を記録した。米広告業界調査会社「Standard Media Index (SMI)」によれば、テレビCM売上高は前年同月比10%増となり、視聴者離れにともなう広告離れを懸念する米テレビ界にとって吉報となった。9月から始まった新シーズンで新番組の多くが出そろった10月だが、突出したヒット番組が少ない中で、特にNFL(米プロフットボール協会)主催の試合中継番組が大きくけん引した。
地上波テレビ4大ネットワーク(ABC、CBS、FOX、NBC)すべてが順調だったほか、スポーツ専門局ESPNや若者向けチャンネルMTV、さらには家族向けのABCファミリー・チャンネルなどがいずれも無難な視聴率を獲得した。地上波テレビの広告費は前年同月比12%増、ケーブル局は9%増だった。
番組の中で大活躍したのがNFL中継番組。同月のプライムタイム(午後8-11時)人気番組トップ25のうち21がNFL番組で占められている。NFLシーズン約3分の1が終了した段階で、NBCネットワークが日曜夜に放送する『サンデーナイト・フットボール』の平均世帯視聴率は14.1%、平均視聴者数2410万人。CBSが昨年から放送を始めている木曜夜の『サースデーナイト・フットボール』は昨年比5%増となる1080万人を魅了するなど、広告業界誌アドバタイジング・エイジは、「現在、人気番組の中で、NFL番組の右に出る番組は見当たらない」と評するほどの強さを発揮している。
ちなみに、NFL番組以外でトップ25入りしたのは、CBSネットワークの長寿番組『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則(邦題)』と『NSIC:ネイビー犯罪捜査班(邦題)』、さらにはニュース専門局FOXニュース・チャンネルとCNNが放送した米共和党大統領候補による討論番組(特別番組)だった。
同月の総広告費を見ると、前年同月比15%増とこちらも過去1年間で最高記録(SMI調べ)を樹立。テレビ媒体に加え、インターネット広告が同34%増と相変わらず活況を呈したほか、フェイスブックなどソーシャル・ネットワーク向けの広告費も129%増と大躍進した。大広告主にはアルコール飲料、医薬品メーカー、エンターテイメント業界などが挙がっている。
なお、4大ネットワークの7-9月期の広告売上高も前年同期比1%増の31億4000万㌦を記録。前年同期を上回ったのは2011年第3四半期以来のことで、前年同期を下回ると予想していた投資家からも”うれしい驚き“を持って歓迎されている。