最もホットな番組にエンパイア 

 広告業界専門誌「Adweek(アドウィーク)」はこのほど、同誌編集部と読者が選んだ2015年の優れた番組リストを発表した。同誌によれば過去6年間で米テレビ界で放送されるドラマ番組の本数が倍増する“番組渋滞”状況になっているが、今回発表された“ホット・リスト”はそんな過当競争の中から選りすぐられたものだという。リストの内容を見ると、編集部が玄人受けする番組を、読者が一般視聴者に人気の番組を選んでいる印象だ。

 

 まず、同誌が年間を通じて“最も傑出した番組”に選んだのが地上波テレビFOXネットワークが放ったヒップ・ホップドラマ『エンパイア 成功の代償(邦題)』。読者の投票でトップに選ばれた有料チャンネルHBOの大ヒット作でジョージ・R.R.マーティンの小説シリーズ『氷と炎の歌』を映像化した『ゲーム・オブ・スローン』をわずかに抑えた。

 同誌が“最も傑出したコメディー番組”に選んだのがコメディー専門局「コメディー・セントラル」の人気番組『インサイド・エイミー・シューマー』。新進コメディー女優、エイミー・シューマーさんが主演・監督・脚本・制作をすべて担当し全米でブレイクしたコメディー番組だ。一方、同誌読者が選んだのがインターネット配信大手フールーが配信する『The Mindy Project(ミンディ・プロジェクト)』。同番組はFOXネットワークで放送されていた人気コメディー番組だが、同ネットワークの終了決定を受けて新シリーズがフールーに舞台を移して配信されている。

 “最も傑出したドラマ”を見ると、編集部が選んだのが米ケーブル局AMCの超人気番組『ザ・ウォーキング・デッド』。ゾンビ(死んだ人間)がはびこるアメリカを舞台に生存者たちがゾンビと戦いながら安住の地を求めていく姿を描くホラー・ドラマだ。だが、読者のほうは同番組を抑えて『ゲーム・オブ・スローン』を選んでいる。両番組ともケーブル局が放送する番組であることが特筆されるが、地上波テレビからはホワイトハウスを舞台にしたラブ・サスペンスドラマ『スキャンダル』(ABCネットワーク)が3位(読者)に選ばれた。

 ちなみに、同誌が選んだ“最も傑出した地上波ネットワーク”にはABCが、“最も傑出したニュース専門局”には保守的報道で知られCNNなどを抑え高視聴率をほこるFoxニュース・チャンネルが挙げられた。スポーツではESPNが文句なしの“最も傑出したスポーツ専門局”に選ばれた。

<テレビ朝日アメリカ 北清>