テレビ広告をはじめ、屋外広告やインターネット広告など米国の2014年における総広告費が2973億㌦に達した。全米広告主協会(ANA)が米調査会社HISに委託した調査結果で明らかになたもので、広告効果は、同年36.7兆㌦に上った米販売活動全体の6.5%に相当する2.4兆㌦にも相当するという。今後の広告費は年平均3.3%の成長を見せ、19年には3492億㌦に達する見込みで、「米経済に占める広告の役割が極めて重要なものになっている(ANA)」ことがあらためて浮き彫りになった。
同調査結果はまた、14年の広告費が、同年米GDP(国内総生産)の19%、約3.4兆㌦に寄与したほか、2000万人の雇用を支えたとしている。
一方、ウォール街の著名な調査会社「モフェット・ネイサンソン・リサーチ」はこのほど、16年のテレビ広告予報にも明るい見通しを打ち出した。同年が米大統領選挙と夏季五輪(リオデジャネイロ・オリンピック)が開催される年であることから、テレビ広告費は前年比4.8%の拡大を示す見込みだ。特にローカルテレビ局への広告支出が前年比10%増と顕著だ。ちなみに14年におけるローカル局向けの広告費は前年比4.5%の落ち込みを見せている。
また、コミュニティー向けのケーブル局の広告費が前年比7.4%増となるほか、地上波テレビ4大ネットワーク(ABC、CBS、FOX、NBC)への広告支出にも明るい見通しが出ている。同グループへの広告費は6%増と、15年の4%増に比べ大幅に改善される見込みだ。全国向けのケーブル局は1.6%増と15年の1%増にほぼ横ばいの状態となる。
なお、同社は、15年1-9月期の広告売上高が6.4%の減少となったネットワークテレビの収入内訳も発表した。4大ネットワークの中で前年に比べCM増収幅が一番多かったのがABCネットワーク。同期広告売上高は前年同期比5%増となる7億5300万㌦。これにNBCの2.8%増11億9000万㌦が続き、CBSはほぼ横ばいとなる0.1%増の7億8800万㌦、プライムタイム番組視聴率が伸び悩むFOXネットワークは7%減となる4億900万㌦だった。
全国向けのケーブル局を見ると、米テレビ界を代表する超人気番組の一つとなっている『ザ・ウォーキング・デッド』(ゾンビがはびこるアメリカを舞台にしたホラー・ドラマ)が相変わらず高視聴率を保った「AMC」ネットワークが前年同期比40%増1億9300万㌦と絶好調だった。その一方で、MTVやニコロデオンなど人気ケーブル局の宝庫を従えるバイアコムは視聴率低迷がたたって同7.5%減の10億㌦だった。