トランプ氏、TV討論会をボイコット

 2016年米大統領選の共和党指名争いに立候補している候補による7回目のテレビ討論会が128日、予備選初戦の舞台となるアイオワ州州都デモインで開催された。共和党公認の討論会は保守系ニュース専門局Foxニュース・チャンネル(FNC)が主催し、米東部時間午後9時から全国向けに生中継したが、支持率トップの実業家ドナルド・トランプ氏が同討論会をボイコットする異例の事態となった。

 「ボイコット発表は、トランプ氏のパフォーマンスで、本番には登場するのではないか」などと憶測も飛び交い、当日の米メディアは終日、討論会そのものをよそに、トランプ氏の動向をめぐる報道が相次いだ。

 結局トランプ氏は討論会には現れず、同氏不在の討論会となったが、ニールセン社の速報によれば同番組の視聴率は8.4%、平均視聴者数約1250万人と、前回114日に開催された第6回目の討論会(FNC姉妹局Foxビジネス・ネットワーク主催)(トランプ氏参加)の7.4%を上回る結果となり、「一定の視聴率を得た」との評価も出ている。ちなみに、トランプ陣営は、「同氏が参加しない討論会は高々100-200万人に留まるだろう」と豪語していた。

 トランプ氏は、FNCが主催した第1回目の討論会の司会を務めたスター・キャスター、メーガン・ケリー氏に過去の女性蔑視発言などを厳しく問いただされことに対し、「私をアンフェアに扱った」などと反発。今回の討論会の司会陣から彼女を外すようFNCに要求を突き付けていた。

 これに対し、FNC側は、「政治家による討論会の司会者に関する最後通告を受け入れることは、報道基準を侵害することであり、脅かすことでもある」と同氏の要求を撥ねつけ、結局トランプ氏ボイコットとなった。

 一方、トランプ氏は同討論会の代わりに、急きょ同州内で退役軍人への基金を目的とした独自のイベントを開催するという奇策に出た。同イベントは、FNCのライバル局、CNNMSNBCが一部中継したが、合計視聴者数は250万人ほどに留まった模様。

 今後の予備選動向に大きな影響力があるとされるアイオワ州の予備選は、保守強硬派クルーズ上院議員が追い上げていたこともあり、トランプ氏は、直前の討論会での失点を避けたかったのではないかとの見方も出ていた。

 21日に行われたアイオワ党員集会の結果は、高支持率を維持してきたトランプ氏がクルーズ氏に敗北。民主党はヒラリー・クリントン氏が辛勝した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>