リオ五輪広告売上高が10億㌦超へ 

 今年85日から21日までブラジルのリオデジャネイロで開催される第31回オリンピック競技大会が約半年後に迫ってきた。米国ではCATVメディア複合企業コムキャスト傘下のNBCユニバーサル(NBCU)が配下の地上波テレビNBCネットワークを中心にケーブル局グループを総動員して2週間あまりにわたる熱戦の模様を独占放送する。

 

 そのNBCUのスポーツ広告セールス担当上級副社長セス・ウィンター氏はこのほど、リオ五輪の広告販売が10億㌦を優に超えるペースで推移していることを明らかにした。最終的には前回のロンドン大会(13億㌦)を上回る売上高になるという。

 ウィンター氏は、「より多くの競技を生中継で視聴者に届けることができる。近年最もエキサイティングなオリンピックになるだろう」と胸を張っている。その背景には開催地と米東海岸との時差が1時間と、ほとんどないに等しいメリットがあるようだ。

 自分の好きな番組を好きな時間に視聴する“タイムシフト視聴”が台頭する米国で視聴者が生で見てくれるスポーツ番組は他番組に比べCM飛ばし視聴が極端に少ないとあって最もスポンサーしたい番組の一つ。同時期、大リーグの試合以外にメジャーなスポーツイベントがないことも多くの広告主を引き付けている要因だ。

 いずれにしても、多彩な視聴者層を魅了するオリンピック番組はスポーツ番組の中でも別格な存在であるばかりか、NBCUにとって開催中17日間連続でプライムタイムに高視聴率をもたらしてくれる重要イベントだ。

 ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、NBCUはプライムタイム(午後811時)(*日曜日は午後7時から)で放送される番組のCM(コマーシャル)価格を30秒当たり100万㌦以上で提示している模様。ウィンター氏は、総額2500万㌦から5000万㌦を投入する大型スポンサーが少なくないことを挙げながら、「(営業的に)記録的な五輪になることを確信している」と強調している。

 競技の模様は今回もインターネット上に配信される予定だが、主に若者層からなるデジタル視聴者を魅了しようとするスポンサーにとって俄然ハードルが高くなっているようだ。ネット配信される番組へCM出稿できる広告主は、テレビ番組に少なくとも700万㌦から1000万㌦相当のCM枠を購入していることが条件になるという。

 広告業界誌アドウィークによれば、NBCUがリオ五輪放映権に支払う額は約128000万㌦。

<テレビ朝日アメリカ 北清>