コムキャストQ4決算、復調目立った映像配信

 米最大のCATV事業者でメディア・娯楽企業NBCユニバーサル(NBCU)も傘下に置くコムキャストがこのほど発表した20151012月期決算は、映像配信やブロードバンド(高速インターネット通信)サービスへの加入者が増えたことなどが貢献し、売上高は前年同期比8.5%増の1925000万㌦、純利益は2.4%増となる197000万㌦を記録した。

 

 CATV事業を見ると、テレビ局などの配信サービス(ペイテレビ)への新規加入数が前年同期の6000軒から89000軒に増大、8年ぶりの好結果をもたらした。

 米国では高額な加入料を嫌った若者層の間でペイテレビを解約する動き、いわゆるコードカッティングが顕在化しているが、コムキャストの報告はその流れを食い止め、ペイテレビサービスの前途に光明を見出す意味合いがあるなどと、歓迎の声も出ている。

 同社が新たに開発したインターネット接続型のセット・トップ・ボックス(STB)「X1」が新たな顧客を引き寄せたほか、評判が芳しくなかったカスタムサービス改善に3億㌦を投入したことも功を奏したようだ。

 

 また、ブロードバンド新規加入数が前年同期の375000軒から9年ぶりの記録となる46万件に増えたこともあり、CATV事業全体の売上高は5.9%増の1198000万㌦となった。

 一方、NBCU部門は、ユニバーサル映画などを含むフィルムド・エンターテイメント部門やテーマパーク部門などが寄与し、売上高は前年同期比13%増となる748000万㌦となった。

 フィルムド・エンターテイメントは、同期大ヒットした映画はなかったものの、『ミニオンズ』や『ジュラシック・ワールド』のDVD販売が好調で、売上高は26%増となる163000万㌦。テーマパークは『ハリーポッター』エリア人気と、昨年9月経営権を握ったユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)などが寄与し、売上高は39%増と大幅に伸び102000万㌦となった。

 放送部門も堅調だった。地上波テレビNBCネットワークはシーズン開始後直後となる同期の広告収入が活況を呈し、売上高は7%25億㌦。NBCUのスティーブ・バークCEO(最高経営責任者)は、「既存メディアがまだまだ健在であることの証し」と特に言及した。ケーブル局グループもスポーツ専門局NBCSNなどが好調だったことが手伝って、売上高は3.4%増の241000万㌦だった。

 15年通期を見ると、コムキャスト全体の売上高は前年比8.3%増となる7451000万㌦、純利益は同2.6%減の816000万㌦となった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>