ニュース専門局CNNや映画会社ワーナー・ブラザースなどを傘下に置く米メディア・娯楽企業大手タイムワーナーの2015年9-12月期決算は、ドル高の影響を受けた海外市場におけるビジネスや映画部門が不振だったことなどを受け売上高は前年同期比5.9%減となる70億7900万㌦となった。純利益はケーブル局部門が好調だったことなどから19.4%増の8億5700万㌦と減収増益を記録した。
同社は映画製作や配信などを行う「ワーナー・ブラザース」部門、CNNやTNTなど有力ケーブル局を抱える「ターナー」部門、米有料チャンネルの雄HBOを擁する「ホーム・ボックス・オフィス」部門の3つからなる。
グループ全体の足を引っ張ることになったワーナー・ブラザース部門の売上高は前年同期比13.4%の減少となった33億㌦。前年同期にヒット作となった『ホビット 決戦の行方』や『インターステラー』などに見合う作品がなかったことが響いた。しかし、同社最高経営責任者(CEO)ジェフ・ビューケス氏は、『Mortal Kombat X』や『バットマン:アーカムナイト』などに代表されるビデオゲームが記録的な売上を示したことや、テレビ番組制作部門が好調なことを挙げ、ワーナー・ブラザースは今後も高収益を上げていくことを強調した。
同部門に次いだのがターナー部門。総合編成ケーブル局TNTが放送した大リーグのプレーオフ戦が高視聴率を記録したことや、米大統領選報道などで視聴率が好調なCNNが寄与し、売上高は前年同期比2.1%増の27億㌦となった。
だが、市場からは同社ケーブル局の配信をキャンセルするペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社が提供する映像配信サービス)が若干増える傾向にあり、今後の懸念材料として指摘されている。
ホーム・ボックス・オフィス部門の売上高は5.5%増の14億㌦と好調だった。有料チャンネルHBOの加入料収入が3%増増えたことや、同チャンネルが放送する人気番組の海外販売売上が前年同期比20%も増えたことが貢献した。
なお、同社はブロードバンド・サービスのみ利用する世帯(1000万軒)をターゲットにした、インターネット上のHBO配信サービス「HBO Now」の加入者が80万に達したことを明らかにした。同サービスは、月額14.99㌦を払えば、ペイテレビに加入していなくてもHBOのすべての番組が視聴できるとあって、“コードカッター”などと呼ばれる若者層を中心にしたペイテレビ解約者を引き寄せることができると期待が寄せられている。