明暗分けたCBS バイアコム決算

米メディア企業大手バイアコムはこのほど、創業者サムナー・レッドストン執行会長の後任にフィリップ・ドーマン最高経営責任者(CEO)を、同時に2006年に分離したメディア企業CBSコーポレーションの会長職にレスリー・ムンベス同社社長兼CEOを任命した。ムンベス氏の昇格には異論が出ていないが、ドーマン氏に対しては市場などから懐疑的な意見が噴出している。高齢(92歳)のレッドストン氏は、今後も同氏が率いるナショナル・アミューズメンツを通して両社の株式80%を保有。両社の名誉会長職に就く。

 ドーマン氏会長就任後、バイアコムは2015912月期の決算を発表した。傘下のケーブル局が軒並み視聴率不振に陥っていることなどから売上高は前年同期比5.7%減となる315000万㌦。純利益は同10.2%減となる44900万㌦と、ドーマン氏にとって手痛い減収減益となった。

 

 同社の基幹事業であるケーブル局群には、若者に人気のMTVやコメディー・セントラル、さらには子ど向けチャンネルの老舗ニコロデオンなどがあるが、視聴率が芳しくないことなどから広告収入が4%減少。海外での番組配信もドル高の影響などで広告収入は2%の減少となった。同部門の売上高は3.4%減の257000万㌦だった。

 また、映画部門(パラマウント)も前年同期にヒット作となった『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』に見合う作品に恵まれなかったことなどから、売上高は15%61200万㌦となった。今後、業績を改善させることができなけれドーマン氏に対する風当たりが一段と強くなりそうだ。

 一方、CBSは、地上波テレビや有料チャンネルなど傘下のほとんどの部門が好調だったことで、売上高は前年同期比6%391000万㌦を記録した。大方の予想を上回る結果であるとともに、四半期ベースでは過去最高のものとなった。

 純利益は、現在進めている株式買戻し計画などの影響で、37%減となる26100万㌦だった。

 傘下部門の中で活況を呈したのが地上波テレビCBSネットワークや番組制作・配信会社などを抱える「エンターテイメント」部門。番組視聴率が好調で、広告収入が8%増となったほか、CATV事業者などから徴収する再送信料が45%などと寄与し、同部門の売上高は8.8%増の25億㌦となった。有料チャンネル「ショータイム」もボクシングのペイ・パー・ビューが大成功だったほか、海外番組販売が好調で売上高は12.6%56200万㌦となった。

<テレビ朝日アメリカ 北清>