米テレビ界で高視聴率を確約してくれるキラー番組といえば、米プロフットボール・リーグ(NFL)主催の試合中継番組。地上波テレビではNBC、CBS、FOXの3ネットワークが週末を中心にレギュラー番組を編成、いずれも平均視聴者数2000万人前後を魅了する活況ぶりを呈している。
週日のNFLゲームはこれまでウォルト・ディズニー傘下のスポーツ専門局ESPNが月曜日夜に放送する「マンデーナイト・フットボール(MNF)」に限られていたが、2年前からNFL自身が運営するアメフト専門局「NFLネットワーク」が木曜のプライムタイム(午後8-11時)に放送する「サースデーナイト・フットボール」をCBSネットワークが8試合に限りサイマル放送できる権利を得ている。CBSがNFLに支払った2015年の放映権は推定3億㌦とされている。
来期もTNFの独占権を、と狙ったCBSだったが、NFLが新戦略に打って出た。NFLは対象試合を10試合に拡大するとともに、放映権を与える地上波ネットワークを2社に増やすことにしたのだ。「NFL試合をより多くの視聴者に見てもらえることができる」と説明しているが、さらなる収入増を狙ったものであることは明らかだ。
競り勝ったのはCBSとNBCネットワーク。CBSが前半の5試合、後半の5試合はNBCが放送するが、NFLに支払う放送権はそれぞれ2億2500万㌦。1ゲーム当たり4500万㌦の勘定になり、CBSが昨年支払った1試合当たり3750万㌦から一挙に20%の値上りとなる。
CBSのTNFが昨年記録した平均視聴者数は1760万人。初年度(14年)の1610万人に比べ10%近くも上昇したほか、同番組が同ネットワークのプライムタイム視聴率を底上げする大きな原動力になっている。各ネットワークにとってNFL放映権料は極めて大きな負担になっているのは周知の事実。だが、高視聴率を確約してくれるNFLを手放すわけにはいかない、というのがネットワーク各社が抱えるジレンマだ。
各ネットワークが昨年得たNFLレギュラーシーズンの平均視聴者数を見ると、Foxが2075万人、CBSが1910万人(週末)。NBCは2250万人とそれぞれ前年比数パーセント増えている。
ちなみに、ESPNのMNFは1290万人と前年比約3%減となっているが、同局を配信するCATV事業者が若干減る方向にあることが影響している模様。
つい先月2月に開催されたNFL王者決定戦スーパーボウル中継番組の平均視聴者数は1億1190万に達したことはまだ記憶に新しいところ。当面、NFL人気に陰りが出ることはなさそうだ。