2016年

3月

10日

米FCCがSTB自由化案を提案 

 米連邦通信委員会(FCC)のウィーラー委員長はこのほど、CATV、衛星放送、電話会社3社の映像配信サービス(ペイテレビ)が加入者に有料提供するセット・トップ・ボックス(STB)の自由化を目指す新たなルールの原案を提案、32で可決された。これを受け、ペイテレビはもとよりメディア業界、さらには市民団体やハリウッドなどから賛否両論が巻き起こっている。米国では全世帯の9割以上に相当するテレビ世帯の約85%が何等かのペイテレビに加入しテレビを見ているが、FCC案の及ぼす影響は大きいとみられている。米有力紙ニューヨーク・タイムズ紙はさっそく社説で取り上げ同案を支持した。

 受信機などと呼ばれるSTBは、ペイテレビ各社が送る映像信号を各家庭のテレビで視聴可能な信号に変換する装置。ペイテレビ加入者がSTBに支払う年間レンタル料金は平均231㌦とされているが、同費用は1994年以来インフレ率60%をはるかに上回る185%の値上がりを見せている(市民団体「アメリカ消費者連合」)のが現状、「消費者はいわば強制的に払わされているとも言える」などの批判も出ている。

 

 FCC案は、ペイテレビ各社が配るSTBをソフトウェア・ベースに切り替え、グーグルやアマゾンなどIT企業が新たなSTB市場に参入し、消費者の選択肢を広げるというもの。今後数ヶ月間にわたり様々な公聴会などを開き、年末までに最終案をまとめたいとしている。

 ペイテレビ業界や日本の民放連に当たる全米放送事業者協会(NAB)などは、FCC案に猛反発。新たなシステム開発費がひいては消費者につけとしてまわり、結果高額なSTB購入を強いられることになるとの主張だ。ソフトウェア・ベースに変われば、消費者の視聴習慣が簡単に入手できるようになるなど、プライバシーの問題も指摘する向きもある。また、ハリウッドやNABからは、番組の著作権が侵害する恐れが拡大する、などの懸念も寄せられている。

 一方、市民団体からは、「同案により、消費者は長年にわたり自動的に課金されてきた現行システムから解放され、経済的負担が軽減されるほか、様々な選択肢が与えられる」などと一斉に賛成の声が上がっている。ネット配信番組に門戸を開くことにもなり、多彩な番組に触れる機会が増えるメリットもあるなどと期待を寄せる向きもある。

 米連邦民主党議員の調査では、ペイテレビにとってSTBレンタル料は年間200億㌦超の収入となっている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>

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