米大統領選の民主、共和両党候補者指名争いが米ニュース専門局に史上空前の活況をもたらしている。ニュース・チャンネル人気ナンバーワンFOXニュース・チャンネル(FNC)は3月上旬の段階で全日視聴率ナンバーワンの座に7週間連続で就くという記録を打ち立てた。ニュース専門局だけではなくケーブル局全体を通してのことだ。イラク戦争が勃発した2003年に6週連続で視聴率トップに立ったことはあるが、7週連続は20年来初めてとなる偉業だ。
ニュース・チャンネル第2位のCNNも、3月第2週にプライムタイム平均視聴者数297万人を引き付け、FNCの241万人を抑えニュース専門局中でトップの座を獲得した。通常CNNのプライムタイム番組の視聴者数は100万に達することはなく、こちらも討論会や予備選報道を通して記録的な視聴率を得ている。
高視聴率の背景にはなんといっても共和党の指名争いでトップを突っ走る不動産王ドナルド・トランプ氏の存在が大きい。性差別や人種差別に抵触すると捉えられる暴言を連発したり、討論会の舞台上で相手候補を罵倒するなど、これまでの常識では考えられない発言が飛び出すとあって、視聴者がブラウン管に釘付けになっているようだ。
昨秋以来順次開催されているテレビ討論会の視聴者数を見ると、8月6日に開催された共和党候補による第1回テレビ討論会はFNCがプライムタイム(米東部時間午後9時)で放送。2時間余りにわたる討論会に2400万人がチャンネルを合わせ、予備選中の討論会としては米テレビ史上最高記録を樹立した。
9月16日に開催された共和党候補による第2回討論会は、CNNが午後8時15分から3時間にわたり中継したが、平均視聴者数2294万人を獲得、開局以来の最高記録となった。ちなみに、CNNのこれまでの政治討論会が記録した最高視聴率は2008年08月1月に開催されたヒラリー・クリントン氏とバラク・オバマ候補(当時)による討論会で、このときの平均視聴者数は832万人だった。
視聴者数は、その後も10月13日に開催された民主党候補による討論会が1580万人(CNN)、ビジネス専門局CNBCが開催された共和党候補による討論番組が1400万人などと続き、地上波テレビネットワークの人気プライムタイム番組に引けを取らない人気ぶりが続いている。
あまりの人気に、CNNは討論番組に通常の30-40倍の料金を課ししてるとの報道もあり、各局はうれしい悲鳴を上げている。