PBSが子供向け専門チャンネル立ち上げへ

 米公共放送(PBS)はこのほど、今秋を目標に24時間子供向け専用チャンネルを立ち上げると発表した。PBS系列局のサブ・チャンネルを使って、『Wild Kratts』や『Daniel Tiger’s Neighborhood』などの人気番組を再編成して全国向けに無料で放送する予定。また、同チャンネルで放送される番組をオンデマンド方式でデジタル配信する新たなサービスも展開する。PBSのウェブサイト経由でパソコンなどを使って視聴できるほか、タブレット型情報端末やスマートフォンなどデジタル・ディバイスでも視聴できるよう専用のアプリケーションを開発する予定だ。

 また、Roku(ロク)やアップルTVなどオンライン上のコンテンツをテレビで視聴できるネット接続器、さらにはXボックスなどゲーム機を利用しながら視聴することも可能となる。

 PBSは大人がプライムタイム(午後811時)番組を視聴している時も、ひいきの番組をリアルタイムで見たいと考える子供が少なくないことに注目。成人にPBS本線を提供すると同時に別チャンネルでPBSが放送する子供番組を提供するチャンネルのニーズがあると判断した。

 

 特に月額料金の高額なペイテレビ(CATV、衛星放送、電話会社が提供する番組配信サービス)に加入できない低所得層児童に地上波デジタル放送を通して無料で教育番組を届けることの重要性を強調している。

 ちなみに、同系列局がプライムタイム以外に引き付ける25歳の児童や低所得者層の子供視聴者人口はトップクラスだという。

 PBSはまた、米児童の間で、ビデオゲーム人気がうなぎ上りであることを受け、人気番組とのインタラクティブ性を生かしたビデオゲームの開発と展開も視野に入れている模様だ。

 子供チャンネルはメディア企業にとってテレビ番組への忠誠心を示してくれる視聴者を確保する重要なプラットフォームであるばかりか、広告主にとっては商品などのブランド名を浸透させる大事な手段。子供チャンネルの老舗ニコロデオンやディズニー・チャンネル、さらにはカトゥーン・ネットワークなど専門局が目白押しだが、昨年暮れ有料チャンネルの雄「HBO」が世界的にも知名度のある教育番組『セサミ・ストリート』の新シリーズの独占放映権を獲得し話題になった。(HBO放送9ヶ月後にPBSでも放送される)。最近はネット配信サービス大手Netflix(ネットフリックス)やアマゾン・ビデオなども子供番組ラインアップ合戦にしのぎを削っている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>