マーチマッドネス視聴率が前年割れ

 315日から始まった全米大学体育協会(NCAA)主催の男子バスケットボール競技1部の決勝ラウンドが44日のチャンピオンシップ戦をもってすべて終了した。毎年全米から1部に選ばれた68校がトーナメント形式で繰り広げる同ラウンドは「マーチマッドネス(3月の熱狂)」と呼ばれ、プロのメジャー・スポーツ顔負けの人気を博している。テキサス州ヒューストンで開催された今年の決勝戦は、ヴィラノヴァ大学(ペンシルベニア州)がノースカロライナ大学(ノースカロライナ州)を7774で破り、1985年以来31年ぶり2度目の優勝を果たした。

 同決勝戦の模様は地上波テレビネットワークではなくケーブル局が初めて独占放送(米東部時間午後911時)し話題となったが、試合が終始接戦だったにも関わらず、平均視聴者数は昨年比37%減の1780万人(同時放送した3チャンネル合計)と大幅に落ち込んだ。

 それでも、裏番組となった地上波テレビネットワークの人気プライムタイム番組が軒並み低視聴率を記録するなど、人気大学バスケ試合中継番組が底力を見せつけた格好だ。

 マーチマッドネス戦は1982年以来、毎年地上波テレビCBSネットワークが独占放送してきたが、高騰を続ける放映権の負担を和らげる目的で11年にタイムワーナー傘下のケーブル局部門ターナーと独占権を24年までシェアする新契約に調印した。14年間にわたる新契約は総額108億㌦に達した模様。

  今年初めて決勝ラウンド放送の順番が回ってきたターナーは、TBSTNTtruTV3チャンネルを駆使して熱戦の模様を放送したが、地上波テレビ到達率の優位性が示された格好とも言えそうだ。CBSネットワークは、約11640万軒とされる全米テレビ世帯すべてで視聴可能だが、ターナーは9380万世帯に留まっている。今後はCBSとターナーが交互に決勝戦を放送するが、ケーブル局での決勝戦が定着すれば、視聴率も上昇するとの見方もある。

 ちなみに、昨年CBSが放送した決勝戦は、平均視聴者数2830万人を獲得、18年ぶりの大記録を樹立したが、無敗で決勝ラウンドに進出したケンタッキー大など、話題も豊かだったことも後押しした。

 一方、決勝戦の模様はインターネット上でもサイマル放送され340万件の視聴があった。また、ツイッターやフェイスブックなどソーシャルメディア上におけるマーチマッドネスに関するインプレッションは昨年比112%増となる5600万件に達したという。

< テレビ朝日アメリカ 北清>