選挙関連閲覧が1億1000万時間以上

 今年3月中旬、米大統領予備選挙報道が米テレビ各社に空前の視聴率をもたらしているという報告をしたが、世界最大の動画サイト「ユーチューブ」の選挙関連ビデオも記録的なアクセス数を得ていることが明らかになった。ユーチューブによれば、20154月、初の候補者が登場して以来、有権者が同サイトで候補者による集会での発言集など選挙関連ビデオを閲覧した時間が11000万時間以上を記録している。 

 米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、こうしたユーチューブ上の選挙関連ビデオの視聴時間は、ニュース専門チャンネル「CNN」、「C-Span」、「MSNBC」、「Foxニュース・チャンネル」で報じられた選挙報道をすべて見たと仮定して、その時間を100倍も上回る時間になるという。前回大統領選挙があった2012年のデータがないため、比較ができない部分もあるが、同紙は、「米有権者は今回の大統領選挙の模様をユーチューブで観測しているようだ」と描写している。

 ユーチューブ上で人気があるビデオ画像は、共和・民主両党候補によるテレビ討論会、テレビによる選挙戦の報道ぶり、テレビで流れている選挙CMや素人による投稿画像など。ユーチューブのコンテンツ閲覧などの分析にあたる米調査会社ZEFRによれば、その中でも過激な発言などで知られる共和党候補で不動産王のドナルド・トランプ氏にまつわる映像の閲覧数が314日の週だけで9500万件に達した模様。同氏の集会に押し寄せた反トランプ活動グループと支持者との間の小競り合いなどが大きな関心を呼んだ結果だ。

  一方、選挙CMに対するアクセスも極めて多いことが明らかになっている。161月の同サイト利用状況を見ると、最も人気のあったCM画像トップ10に選挙CMがランクされたことが特筆される。ユーチューブによれば初めてのことだという。

 そして、ユーチューブ上の選挙関連ビデオ閲覧者の59%35歳以下、いわゆるミレニアル世代に集中していることも分かった。ただ、3544歳層が閲覧者全体の15%44歳以上も全体の26%を占めていて、様々な世代が選挙情報を求めてユーチューブに群がっていることが浮き彫りになっている。

 また、ユーチューブの検索状況を見ると、難民問題(候補者による発言・主張など)を検索したユーザーが154月以来224%もアップ。移民問題が51%増、銃規制関連が27%増などと有権者の関心事が検索状況でも浮き彫りになっている。

<テレビ朝日アメリカ 北清>