2002年にデビューし、米テレビ界を代表する大ヒット番組として長年にわたり君臨したオーディション番組『アメリカン・アイドル』が4月7日、幕を閉じた。地上波テレビFoxネットワークがプライムタイムで2時間枠の特別番組として放送した最終回は、広告主が最大ターゲットにしている18-49歳層の視聴率が3.0%と健闘(速報)、平均視聴者数は1330万人に達し、2012年以来最高の記録で有終の美を飾った。番組最後の30分間の平均視聴者は1450万人に達した模様だ。
ちなみに、15代勝者となる最後のアイドルにはミシシッピ州の家族が経営するレストランでウェイターをしていたトレント・ハーマンさん(25)(写真・下)が選ばれた。
アメリカン・アイドルは15年にわたりプライムタイムで放送された長寿番組だが、他番組に類を見ない偉業の数々を成し遂げた。まず同番組は、プライムタイムの本流であるドラマやコメディー番組と違い、俳優や脚本家などを使わない素人参加型のいわゆる“リアリティー番組”の先駆者となった。制作予算がドラマ番組などと比べ廉価にすみ、しかも高視聴率をとってくれるとあって、アイドルの成功が米テレビ界にリアリティー番組ブームを巻き起こした。シーズンピーク時は平均視聴者数3000万人を超えるお化け番組に成長。30秒CMに130万㌦の値がついたこともあった。
Foxにとっては2005 年から11年間にわたり連続で視聴率王の座につく原動力となった。
また、同番組はテレビ界だけでなく、米音楽・エンターテイメント界にも多大な影響を与えた。第1代目チャンピオンのケリー・クラークソンさん、4代目勝者キャリー・アンダーウッドさんなどは数々のミリオンヒット曲を放った米音楽界のスーパースターに、シーズン3で7位と優勝者ではなかったものの、いまや映画界やブロードウェイで活躍するスーパースターにのし上がったジェニファー・ハドソンさんなどが輩出した。
しかし、アメリカン・ドリームが叶う番組「アイドル」も12年ごろから人気が急降下。「Xファクター」(Fox)やNBCネットワークの「Voice(ヴォイス)など類似番組が多出したほか、動画投稿サイト最大手ユーチューブなどの登場で、スター誕生の機会が増えたこと、などが理由として挙げられている。ちなみに、現在も放送されているヴォイスはNBCのプライムタイム番組の中でもトップクラスの人気を博している。