米有料プレミアムチャンネル大手「Starz(スターズ)」はこのほど、ペイテレビに加入しなくても同チャンネルが放送する番組や映画が視聴できるインターネット配信サービスを開始した。ペイテレビを解約した人(コードカッター)や加入したことのない人(コードネバー)を中心に全米約2000万軒とわれるブロードバンド(高速通信)サービスのみの加入世帯を対象にしたサービスだ。
ちなみに、ペイテレビ・サービスとはCATV、衛星放送、電話会社が提供するケーブル局の配信と地上波テレビの再送信をする映像配信サービス。全米テレビ世帯の約85%が何等かのペイテレビに加入してテレビを見ているのが現状だ。
同社の最高経営責任者(CEO)クリス・アルブレクト氏は、かねてからネット配信サービス推進派。「米消費者の番組視聴方法が従来の既存メディア型(テレビ)から確実にシフト(オンラインへ)している」現状を踏まえ同サービス立ち上げに積極的に取り組んできたという。
新サービスの月額料金は8.99㌦。アップル・ストアーとグーグル・プレーから専用アプリケーションをダウンロードしてスマートフォンやタブレット型情報端末で番組視聴ができる。スターズの独自制作番組で大ヒット作になったドラマ『Outlander(アウトラウンダー)』(第2次世界大戦を舞台にした英国人看護婦を描いた歴史ドラマ)や『Power(パワー)』(ニューヨークのナイトクラブのオーナーで麻薬組織の大物物語)、さらには同チャンネルが放映権を獲得したSF映画『スターウォーズ/フォースの覚醒』(今年後半デビュー)などが見放題となる。
プレミアムチャンネルの雄「HBO」や「Showtime(ショータイム)」などが同様なネット配信サービスを先行させているが、スターズが参入したことで3大プレミアムチャンネルすべてが出そろったことになる。スターズ本体の加入世帯数は2360万軒、ショータイムの2340万軒をわずかながらも追い抜き、HBO(3250万軒)に次ぐ2位につけているが、ネット配信を通してさらなる視聴者を獲得、王者HBOに迫りたい考えだ。
月額料金(8.99㌦)をHBOの14.99㌦、ショータイムの10.99㌦に比べ廉価に設定。1アカウントで4人まで同時にアクセス可能とするなど、他社との差別化をアピールしている。
スターズの2015年売上高は前年比2%増となる17億㌦。純利益は番組制作費への資金投入や広報費に圧迫され同12%減となる2億3700万㌦だった。