ツイッターがNFL放映権獲得

 NFL(全米プロフットボール協会)がシーズン中毎週木曜日夜に開催する人気試合中継番組『サースデーナイト・フットボール(TNF)』(10試合)をライブ動画配信する大きな動きに出た。ネット上のTNF放映権を獲得したのはソーシャルメディア大手「ツイッター」。同社ライバルのフェイスブックやオンライン動画配信大手アマゾン、さらには通信大手ベライゾン、ヤフーなどが入札したが、結局ツイッターに軍配が上がった。ツイッターを上回る金額を提示した社もあったようだが、NFLはツイッターの世界市場に広がる人気と若者層を引き付ける魅力を選んだようだ。

 

 NFLは昨年、ロンドンで特別開催されたレギュラー戦を1試合限定でヤフーに動画中継を許可したばかりだが、ほとんど全シーズンにまたがる10試合に上る試合のネット中継は初めてのこと。番組をテレビで見なくなった若者層を取り込むためのデジタル対応策として、またアメフト試合を米国外にアピールしたいNFLの戦略が透けて見える。

 一方、基幹事業のツイート(簡易ブログ)ユーザー数が頭打ちのツイッターはNFL動画配信を経営立て直しの活性剤にしたい考え。ソーシャルメディアの間では動画配信は競争が高まっている分野ということもあり、NFLという究極の人気コンテンツを得て他社から一歩抜きんでたいという思惑もありそうだ。リアルタイムで視聴してくれる生スポーツ番組は貴重価値があるという点では放送界と一致している。

 また、これを契機にニュース番組など、動画中継を拡大したい考えで、「ツイッターが事実上ケーブル局に変身する可能性も出てきた」(ワシントン・ポスト紙)などの見方さえ出ている。

 NFLは地上波テレビCBSネットワークとNBCネットワーク両社との間にTNF5試合を独占放送する新契約(総額推定45000万㌦)を締結したが、ツイッターはこのCBSNBCの中継番組を世界に向けサイマル放送する。視聴は無料。番組中の広告(CM)やスポンサー契約などが財源にあてられる模様だ。

 ツイッターがNFLに支払う権料は公表されていないが、広告業界誌アドバタイジング・エイジなどによると、1000万㌦超。昨年初のNFL試合(1試合)を動画中継したヤフーがNFLに支払った権料は1700万㌦といわれており、格安感があるが、ツイッターに与えられたCM枠はかなりの制限を受けたようだ。

 ちなみに、ヤフーの動画中継試合のユニークビューアー数は1520万件に達した。

<テレビ朝日アメリカ 北清>