世界最大の有料動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」はこのほど2016年1-3月期の決算を発表したが、同期の新規加入者数が拡大し売上高は前年同期比24%増となる18億1000万㌦。純利益は市場の予想を上回る同17%増2770万㌦を記録した。ただ、来る4-6月期の新規加入者数が前年同期を下回るとの見通しを発表したため、株価は一時10%の下落となった。
同期新規加入者数の内訳を見ると、今年1月にサービスを新たに約130ヵ国・地域に展開したことが功を奏して海外の会員数は3453万人。全体の42%が海外会員で占められるまでに至っている。米国内加入者数は4697万人。内外合わせた同期の新規加入者数は前年同期比38%増となる674人を獲得、四半期ベースの新記録を樹立した。
売上高も加入者数の増大にともない絶好調。米国内売上高は前年同期比18%増となる11億6000万㌦。海外は同57%増6億5200万㌦となった。
記録的となった新加入者数について、ネットフリックは同社が積極的に進めているオリジナル番組編成を最大要因として挙げている。ネット配信された番組として初めてエミー賞を獲得した政治サスペンスドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段(邦題)』や人気アニメが原作の『Daredevil(デアデビル)』(超能力ヒーロー物語)など人気番組の新シリーズも毎週1番組登場させるペースで展開しており、同編成方針が会員の心をしっかりつかんでいるようだ。
昨年配信したオリジナル制作番組は450時間分と有料チャンネルの雄HBOの401時間を大幅に上回ったことも話題となっている。両社による顧客争奪戦はますます激しくなる様相で、今年は両社ともオリジナル番組の配信時間が600時間を超える見込みだ。
海外においても、フランスでは同国の政治ドラマを扱った『Marseille』を今年5月に、日本では6月に吉本興業と共同制作する又吉直樹原作「火花」の映像化作品を独占配信するなど、言語も含め地域の好みにあった”ローカライズ化“にも着手している。ネットフリックスは、今年の番組制作予算50億㌦を予定しているが、来年は60億㌦に増額する見込みだ。
株価下落の原因となった第2四半期の新規加入者数予測は、市場が期待した350万人(国内58万6000人)に対し、同社の予測は250万人(国内50万人)と下回っている。
ちなみに、かつて同社の基幹事業だったDVDレンタル・サービスの加入者数は470万人。純利益は7200万㌦だった。