
米連邦通信委員会(FCC)は5月6日、米CATV(ケーブルテレビ)事業者第4位のチャーター・コミュニケーションズ(以下、チャーター)、同第2位タイムワーナー・ケーブル(TWC)、第6位ブライト・ハウス・ネットワークの合併申請を認める判断を下した。同合併劇は、チャーターによるTWCとブライト・ハウスの実質的な買収で、買収額は約656億㌦。負債込で787億㌦になるという。
米調査会社LRGによれば、チャーターが提供するペイテレビ・サービス(地上波テレビの再送信とケーブル局の配信)の加入世帯数は427万4000軒、TWCは1097万7000軒、ブライト・ハウス250万軒となっており、合併後は1775万1000軒と、最大手コムキャストの2225万8000軒に迫るCATVペイテレビ第2位の勢力となる。米国では若者層を中心にペイテレビからの解約者(コードカッター)が増大しており、チャーターは合併を通しペイテレビ市場における競争力を強化したい考えだ。
今回、合併承認の条件としてFCCがチャーターに示した条件は、新会社がペイテレビとともに提供する高速インターネットサービスに関するものが際立っている。ネットフリックスなどに代表される番組ストリーミング・サービスに対し、故意に速度を落したり、特別料金を課すことなどを禁じる条項や、番組供給者に対し、ネット配信会社を除外しペイテレビのみに番組を提供するよう圧力をかけることも禁じている。
また、低所得世帯に安価なブロードバンド通信を提供することなどブロードバンド通信網のさらなる拡大を促すものとなっている。チャーター側はこれらすべての条件を飲んだ模様だ。
ブロードバンドを介した番組配信は、CATVのペイテレビ・サービスの加入料と比べ各段に安く、コードカッティングを助長する要因となっているが、FCCはペイテレビのライバルになりつつあるストリーミング・サービス援護の姿勢を鮮明にした格好だ。
ブロードバンド通信サービスの加入者数で見ると、TWCが現在1301万6000軒、チャーターが544万1000軒などとなっており、合併後は1940万軒と、こちらも最大手コムキャストの2286万8000軒に次ぐ全米第2位のブロードバンド・プロバイダーとなる。
TWCについてはコムキャストが買収を仕掛けたが、両社のサービスエリアが多くの地域で重なっており、買収を認めれば寡占化につながるなどの判断から却下された。