CNNをはじめとするケーブル局(ターナー部門)や映画会社(ワーナー・ブラザース部門)などを傘下に置く米メディア企業大手タイムワーナーはこのほど2016年1-3月期決算を発表。ターナー部門と有料チャンネルHBOを抱えるホーム・ボックス・オフィス部門が市場の予想を超える好調ぶりを示したことから売上高は前年同期比3%増となる73億㌦。純利益は25%増の12億㌦に達した。
ターナー部門を見ると、CATV事業者、衛星放送、電話会社の映像配信サービス(ペイテレビ)から前年同期比11%の値上げを獲得した配信料収入が大きく寄与したほか、スポーツ番組などの広告収入が5%増となったことなどから、同部門の売上高は前年同期比7.2%増となる29億㌦を記録した。
米ケーブル局業界は、全米で広がりを見せるペイテレビからの解約傾向(コードカッティング)に対応するため、視聴率が稼げる番組の開発などに努めているが、ターナー部門は、高額な独占放映権を払い獲得した(全米大学競技協会(NCAA)主催のバスケットボール決勝ラウンドの中継番組が高視聴率を得るなど大きな成果を上げている。ちなみに、ターナーは今年4月、地上波テレビCBSとともにNCAAと2024年まで同トーナメントを共同で独占放送する新契約を結んだが、新契約は総額108億㌦に達した模様だ。
スポーツ番組以外にも傘下のニュース専門局CNNの活躍が目立った。米大統領予備選挙報道が活況を呈しているおかげで同期、広告主が報道番組でターゲットにしている25-54歳層の視聴率が前年同期比137%アップ。総世帯視聴率も159%と大幅増、広告収入に大きく寄与した。
また、米テレビ界全体で最も人気のある番組の一つに挙げられている大型ファンタジー・ドラマ『ゲーム・オブ・スローン』などの放送で知られる有料チャンネルHBOを抱えるホーム・ボックス・オフィス部門もウォール街の予想を上回る好成績だった。海外番組販売が23%増となるなど寄与し、売上高は7.7%増の15億㌦だった。
唯一減収となったのがワーナー・ブラザース部門。同期に封切られた『バットマン vs スーパーマン:ジャスティスの誕生(邦題)』が好評だったものの、前年同期に公開された『アメリン・スナイパー』や『ホビット 決戦のゆくえ』に見合う興行成績に達しなかったことなどが響き、売上高は前年同期比2.8%減となる31億㌦だった。人気番組を輩出しているテレビ番組制作部門は好調だった。