米娯楽・メディア企業大手ウォルト・ディズニーがこのほど発表した2016年1-3月期決算は、売上高は前年同期比4%増となる129億6900万㌦、純利益が2%増の21億4300万㌦と増収増益を記録した。しかし、基幹事業であるメディア・ネットワークス部門が低調だったことなどから増収増益率が市場の予想を下回り、決算発表後の株価は一時5%以上下落した。
傘下で増収に大きく貢献したのが映画を中心としたスタジオ・エンターテイメント部門。引き続きサイファイ映画『スターウォーズ:フォースの覚醒』が観客を引き寄せたことや、アニメ映画『ズートピア』が大ヒットしたこと、映画のほか海外番組販売が好調だったほか、スターウォーズの過去のエピソードを収めたDVD販売売上も寄与するなど、同部門売上高は前年同期比22%増となる20億6000万㌦に達した。
同部門に次いで売上高が上昇したのがテーマパークなどを抱えるパークス&リゾート部門。ディズニー・ワールドの入場数は減ったがディズニー・ランドが増え、全体の入場数は横ばいだったが、入場料の値上げが寄与したほかクルージングも好調だったおかげで、同部門の売上高は前年同期比4%増となる39億3000万㌦を記録した。同社にとって両部門の重要性がますます高まっていることを印象付ける結果となった。
メディア・ネットワークス部門を見ると、ケーブル局グループの不振が目立った。全体に視聴率が芳しくなく広告収入が減少したほか、総合編成チャンネル「A&E」に投入した大型番組制作費が大きく響いた。さらにディズニー・グループの屋台骨的存在であるスポーツ専門局ESPNの加入世帯数が減少したことも売上高に悪影響を与えた。
「ケーブル・ネットワークス」全体の売上高は前年同期比2%減となる39億6000万㌦となった。
一方、地上波テレビABCネットワークを核とする「ブロードキャスティング」はプライムタイム番組が好調だったことから広告収入増につながり、売上高は3%増の18億㌦4000万㌦となった。メディア・ネットワークス部門全体の売上高は前年同期比横ばいとなる58億㌦だった。
キャラクター商品などを扱う消費者向け商品部門は海外市場における業績がドル高の影響を受けるなど、売上高は2%減11億9000万㌦となった。
一方同社は、ビデオゲーム制作から撤退することを発表、ユタ州にある制作スタジオなど300人規模のリストラが実施されることになった。