アップフロント報告(下)

 さて、今年のアップフロント、地上波テレビ4大ネットワーク別に編成内容の特徴を見てみよう。今シーズン広告主が重視する1849歳層で第2位にランクされたNBCネットワークは、圧倒的な人気のアメフト中継番組を軸に、新シーズンではコメディ・ドラマ番組計12本の新番組を登場させる。その他、辣腕クリエーター、ディック・ウルフ氏が手掛ける犯罪捜査番組『シカゴ・ロー』や医療ドラマ『シカゴ・メッド』など、ウルフ氏によるプライムタイム番組が合計5本にも及ぶことが特筆される。

 また、新シーズン直前に独占中継するリオデジャネイロ五輪(8月)がネットワーク・ブランド名周知に大きく貢献し、同社へのCM出稿に大きなメリットがあることを盛んにアピールしていたのが印象的だった。

 

 ちなみに、同社はNBCネットワークとともに傘下の10ケーブル局の新シーズン番組編成を同時に発表する初めての試みに出た。これまでは地上波とケーブル局を別々なアップフロント・イベントで紹介していたが、共催することで相当な費用の節約にもなったようだ。

 NBCに次いでアップフロントを開催したのが18-49歳層でABCを抑えて3位に食い込んだFOX50歳以下でナンバーワン番組となっているヒップホップ・ドラマ『エンパイア:成功の代償(邦題)』を中心に、往年のヒット作リメイク版『リーサル・ウェポン』、『エクソシスト』、『24』などリアリティー番組を含め計11本の新番組を登場させる。

 1849歳層で4位と不調に終わったABCは来シーズンに向け4大ネット中最多となる24本の新番組をスタートさせる。家族向けのコメディー番組に力点を置くほか、大スター、キーファー・サザランド主演の大型ドラマ(写真・左)などを投入する。また、著名女性クリエーター、ションダ・ライム氏が手掛ける番組は、『グレイズ・アナトミー:恋の解剖学』や『スキャンダル』など4本に上り、NBCのウルフ氏とともに4大ネットプライムタイムに圧倒的な存在感を示すことになる。

 今シーズン1849歳層でナンバーワン・ネットワークとなったCBSは、人気ナンバーワン・コメディとして知られる『ビッグバンセオリー/ギークなボクらの恋愛法則』など安定した既存番組に加え新シーズンにデビューさせる新番組は8本と他社に比べ控えめ。余裕を見せたというところだが、月曜及び木曜夜にそれぞれ2時間のコメディー番組を編成する予定だ。

 

<テレビ朝日アメリカ 北清>