米国におけるインターネット上の番組配信人気が向こう5年間に頭打ちになるという報告(米調査会社ストラテジー・アナリティックス)が出たばかりだが、今度は年々拡大傾向を示してきた様々なメディアの利用時間が2018年までに限界に達するとの予測が出た。米調査会社eMarketer(イーマーケッター)がこのほど発表した調査結果によれば、米消費者の2016年におけるテレビ、新聞、パソコン、スマートフォンなどの利用時間は一日当たり12時間5分と、5年前に比べほぼ1時間も増えているが明になった。
米市民は起きている時間の大部分を何等かのメディアへのアクセスに費やしていることになるが、背景には、テレビを見ながらスマホをチェックするなど、いわゆるマルチタスキングが新しい視聴習慣として定着し始めていることが要因に挙げられている。外出中もスマホやタブレット型情報端末などが利用できる環境が整ったことも大きい。
しかし、16年から18年にかけてそうしたメディア利用時間は年間わずか3分の伸びにとどまり米市民のメディア利用時間は12時間8分と事実上頭打ちになるという。
同調査はまた、2016年にスマホを使ったビデオ視聴(モバイル・ビデオ)が11年比218%増の伸びを示したものの、16年には10%増、17年は8.5%増、18年は7.2%増と急速にブレーキがかかることを特筆している。番組配信をインターネットなどテレビ放送以外のプラットフォームに展開しようと準備を進めている最中のメディア経営陣にとって気になる情報とも言えそうだ。
2016年における1日当たりのビデオ視聴方法の内訳を見ると、相変わらずテレビ視聴時間が4時間5分とスマホを使ったビデオ視聴29分、パソコン上のビデオ視聴25分などオンライン・ビデオを大きく上回っている。だが、テレビ視聴時間は18年には3時間55分と減少する傾向を示すと予測している。
一方、インターネットやワイヤレス通信を介したスマホやパソコン利用をデジタル媒体とくくれば16年の利用時間5時間43分から18年には6時間1分と他媒体を大きく上回ることになる。ちなみに、デジタル媒体利用にはビデオ視聴のほか、ソーシャルメディア、ネット・ラジオ視聴なども含まれる。
このほか、ラジオ聴取時間が16年の1時間27分(1日当たり)から1時間25分に、新聞購読時間は同16分から15分、雑誌購読時間は12分から11分といずれも微減に留まることになりそうだ。