【米大統領選――党大会の視聴数の勝敗は?】アメリカ・メディアの現状

今年11月におこなわれる米大統領選挙の候補者を指名する共和・民主両党の党大会が7月末に行われた。最終日に、指名を受けた候補者の演説が行われる、それぞれの党大会は、4年に一度のライブ・ショーでもある。
今年はドナルド・トランプという異色の共和党大統領候補がいただけに、それぞれ4日間にわたる党大会の視聴数が注目されたが、ニールセンによれば以下のようになった。
「共和党大会」
1日目 2200万視聴(FOX News 635万、CNN 394万)
2日目 1900万視聴(FOX News 526万、CNN 306万)
3日目 2340万視聴(FOX News 734万、CNN 350万)
4日目 3200万視聴(FOX News 935万、CNN 548万)
注目されていたトランプ候補だが、受託演説のあった最終日(4日目)の視聴者数は、3200万視聴で、2008年の3840万(マケイン候補)、2012年の3570万人(ロムニー候補)を下回る結果となった。これは、トランプ候補をめぐる共和党内の深刻な分裂が影を落としているためと考えられる。

今年の共和党大会は、トランプ氏への支持表明を保留しているブッシュ前大統領も、大会が行われていた当該地の共和党員ケーシック知事も欠席するという異例ずくめの大会だった。
一方、翌週に行われたヒラリー・クリントン候補を立てる民主党大会の4日間の視聴者数は以下の通りとなっている。
「民主党大会」
1日目 2600万視聴 (FOX News 326万、CNN 629万)
2日目 2400万視聴 (FOX News 285万、CNN 593万)
3日目 2440万視聴 (FOX News 239万、CNN 617万)
4日目 3220万視聴 (FOX News 303万、CNN 751万)
 4日間の平均視聴数は共和党大会が2460万視聴、民主党大会が2620万視聴で、民主党大会に軍配が上がった。しかし最終日に行われた指名受諾演説時の視聴数では、トランプ候補の3220万視聴に対して、ヒラリー候補は2950万視聴と、トランプ候補への関心の高さが数字にも表れた。

4大ネットのひとつとして保守層への圧倒的な浸透を誇り、トランプ候補にもっとも近いFOX Newsが、共和党大会ではもっとも多くの視聴者を獲得したのに対し、これまでの大統領選挙では3大ネットワークの後塵を拝していたCNNが、今回の民主党大会では4日間を通じて三大ネットをも上回る視聴数を獲得した。
 「平均視聴数」
CNN 550万、FOX 490万、NBC 460万、ABC 350万、CBS 310万
CNNは民主党ヒラリー・クリントン候補寄りの報道姿勢だと言われており、CNNを評して「Clinton News Network」だと揶揄する保守層もいるほどだ。今回の視聴率アップの要因には、2013年にCNN Worldwideの社長に就任した54歳のジェフ・ズッカー氏の現場プロデューサーとも思える積極的な関与がある。雑誌『ヴァラエティ Variety』のフロントページにジェフ・ズッカー氏の写真を載せて特集しているほどだ。
また、今年はTwitterがsocial mediaとしては初めて、CBS Newsと組んで両党の党大会を終始live-streamingし話題となった。