【大統領候補の一騎打ち!――Presidential Debateの広告は?】

9月26日(月)米国東海岸時間の21時(日本時間27日10時)、いよいよ、民主党ヒラリー・クリントン、共和党ドナルド・トランプ両大統領候補の一騎打ち、Presidential Debate が始まる。第1回の26日は、NBCの看板ニュース番組"NBC Nightly News”のアンカーマン、レスター・ホルト(Lester Holt)が進行役を務める。今のところ設定されているテーマは「アメリカはどこへ向かうか」「繁栄をいかにもたらすか」「アメリカをどう守るか」の3点だ。討論時間は90分で15分単位を六つのセグメントに分けてそれぞれのテーマを話し合う。前回2012年のオバマ対ロムニーのディベートでは6700万人がチャンネルを合わせたという、7月の党大会に続く最大の政治イベントだ。映像はすべてのネットワークを通じて全米に生中継され、90分間CMは一切入らない。
 トランプ陣営は、いま大手メディアと一触即発の関係にある。

名指しで「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントンポスト」の「偏向報道」を批判し、遊説の同行取材から記者をはずし各社カメラマン1名のみの同行にしようとしたことで、TVネットワーク各社が一斉に反発したのだ。そもそもトランプは7月27日以降、いわゆるメディア向けの記者会見を開いていない(”The New York Times” 9月16日付)。ところが、トーク・ショー番組に出演して司会者にいじり倒されるトランプ候補の映像は、インターネット上で大量のアクセスを呼び込んでいる。ここでも徹底的に従来の選挙戦術を拒否し、大手メディアとは距離を置いて、On-lineとStreamingを徹底的に利用する「トランプ流」のメディア戦略が発揮されている。
 しかし、このPresidential Debateだけは避けて通れない。9月26日を皮切りに、10月9日(日)、10月19日(水)の3回の一騎打ちが待ち受けている。しかも進行は各局の手練れのアンカーマンたちだ。

そのため、トランプ候補は「進行者のいない、ヒラリーとの直接討論にしよう」と持ちかけたりしているが、全米の注目するDebateは近来にない視聴率となりそうだ。視聴数は8000万を超えるだろうとの予測もある。
 CM抜きの討論会を各局はどうやって売っているのだろうか。Debateの前後の時間枠を徹底して高値で売っているのだ。NBCは討論会前後の30秒スポットを20万ドル(約2000万円)から25万ドル(約2500万円)ですでに売り切っている。CBSでは前後をセットにして30秒スポットをやはり20万ドルから22万5000ドル(約2250万円)で、これも完売している。(“Wall Street Journal” 9月20日付)。
 そして、Presidential Debateへの注目が高まるほど、視聴者の本音が飛び交うSocial mediaの注目度も上がる。

もはや政治イベントでのセカンド、サードスクリーンは当然の流れで、2012年の大統領候補同士の初回の討論会では、約1000万のツイートが発信されたという。Social mediaでの広告費は、ユニットごとに、4ケタ(1000ドル単位)から、リーチするユーザー層を絞り込んだ場合には6ケタ(10万ドル単位)までにのぼるのではないかとみられている。